代表的なブランド茶!宇治茶の特徴
宇治茶といえば、日本を代表するお茶のブランドであり、静岡茶や狭山茶と並んで日本三大茶の1つとして知られています。それでは宇治茶とはどのようなお茶で、どのような特徴を持っているのでしょうか。ここでは宇治茶の定義や生産量、宇治茶が親しまれる理由などについて、ご紹介したいと思います。
宇治茶の定義
宇治茶といえば、京都や宇治田原周辺で生産・加工されるお茶のことをいいますが、どんなものでも宇治茶と名乗ることはできません。食品の表示基準が年々厳格化され、より消費者に安心してお茶を購入していただけるように、公益社団法人京都府茶業会議所が2004年に宇治茶の定義を決定しました。内容は、以下のようになっています。
「宇治茶は、歴史・文化・地理・気象等総合的な見地に鑑み、宇治茶として、ともに発展してきた当該産地である京都・奈良・滋賀・三重の四府県産茶で、京都府内業者が府内で仕上加工したものである。ただし、京都府産を優先するものとする。」
つまり、「宇治茶」とは、京都府内で京都の職人により、製造加工されたお茶のことであり、その材料は、主産地を京都産とし、これに加え、宇治茶の隆盛とともに、脈々と受け継がれてきた産地である周辺三県の茶葉のみ使用することができるということです。日本緑茶発祥の地、宇治田原を中心にコンパスで円を描くと4府県内の茶処が入ることがお分かりかと思います。これも、茶祖 永谷宗円が分け隔てなく、製法を伝授し、今に伝わるということが伺えます。
京都府のお茶の生産量
農林水産省の「平成28年産茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量」によると京都府の荒茶の生産量は3,190トンで全国5位となっています。ちなみにお茶の名産地として知られる静岡県の生産量は30,700トンと全国1位、続いて鹿児島県の24,600トン、三重県の6,370トンとなっています。
しかし、数ある日本茶の中でも、高級品とされる玉露や抹茶といった覆い茶の生産量は1,780トンと全国1位で、京都府内で生産されるお茶の半分を占めています。そのため、高級品としてのイメージもあり、日本だけでなく世界でもそのブランドが高く評価されています。
宇治茶が親しまれる理由
宇治茶が日本の三大茶として長年親しまれている理由はなんなのでしょうか。
日本緑茶発祥の地としての歴史
鎌倉時代初期、建仁寺の栄西禅師が中国から持ち帰ったお茶の種子は、京都栂尾で栽培され、その後、明恵上人が宇治に栽培法とともに茶を伝えました。
さらに、日本独自のお茶の製法を完成させたのが、江戸時代、宇治田原に住んでいた永谷宗円(ながたにそうえん)という人物でした。彼が考案した「青製煎茶製法(宇治製法)」によって、お茶の品質が向上したため、京都の宇治田原は日本緑茶発祥の地として歴史に名を残すことになりました。
京都の文化に根付いた慣習
上流階級による茶のもてなしの文化が発達し、また鎌倉時代には禅宗寺院に喫茶が広がり、お茶は社交の道具としても広がるようになりました。京都中心部に近い宇治のお茶は天皇家や足利将軍家のサポートもあり、また戦国時代には茶の湯としてお茶の文化が流行し、宇治茶はこのような背景からとても重宝されるようになりました。
茶樹栽培に適した気候
お茶の栽培に適した気候は年間雨量が1,300mm以上あり、かつ年間平均気温が14~16度、これは宇治茶の産地である京都や宇治田原周辺の条件にぴったりと適合します。また、特に良質の茶の生産は昼夜の寒暖差が大きいほど香りがよくなるといわれていますので、宇治田原周辺では昔から高品質の茶の産地として栄え、その名を広く知られてまいりました。
宇治茶は単にブランド力が高いというだけではなく、歴史的な背景や茶葉の栽培に適した気候や地形など、多くの条件を兼ね揃えたことにより、今に至っています。宇治茶を飲むときには、上記のような宇治茶にまつわる歴史や環境を感じながら、楽しまれてはいかがでしょうか。