世界のお茶の産地と日本の位置づけ

世界のお茶の産地と日本の位置づけ

日本は世界でもお茶をよく飲む国として知られていますが、世界に目を広げてみると、さまざまな国でお茶が栽培されています。元々お茶は中国から日本に伝わったものであり、そこから栽培方法や製法に改良を加えて現在に至っています。今回は世界のお茶の原産地や、世界で生産地の多い地域についてご紹介いたします。

世界のお茶の原産地

お茶の原産地ははっきりと解明されていない部分が多く、さまざまな諸説がありますが、最も有力な説としては、中国の内陸部(雲南省近辺)と言われています。
この地方で生産されている茶の木が、茶の原種にとても近いということや、中国の古い書物にもお茶が健康に良いものとして語られているため、ここから他の地方に伝播していったと考えられています。雲南省から長江沿いにお茶の文化が広がり、徐々に四川省や江南地域でもお茶を飲むようになっていき、西暦600年頃には中国全土にまで広がりました。西暦700年頃には朝鮮や日本へもその文化が伝わり、世界へとお茶を飲む風習が広がっていったのです。もともと茶の木は1種類ですが、現在ではその地域に合った栽培ができるように品種改良が進み、日本だけでも50種類以上の品種が育てられています。

世界のお茶の生産量が多い地域

日本でもお茶はたくさん生産されていますが、世界では広大な敷地を活かして大規模な生産が行われています。2014年では、世界で最も多くお茶を生産しているのは中国で、その量は209万トン、次いでインドが120万トン、ケニアが44万トン、スリランカが33万トンなどとなっています。これを見てお分かりのようにほとんどがアジア地域で生産されており、世界で生産されるお茶のおよそ85%を占めています。
中でも中国は生産量世界第1位です。
中国は、上記のようにお茶の原産地としての歴史があるため、お茶の文化が根付いており、今でも雲南省、湖南省、広東省、福建省など中国の各地にお茶の生産地が多数あります。さらに、中国は生産量だけではなく、消費量も世界第1位。人口が多いことに加え、国民1人1人がお茶を飲む量が多いことも理由です。
お茶には日本で飲まれている緑茶のほか、中国ではウーロン茶やプーアル茶、ヨーロッパなどでは紅茶が主流です。日本と中国では主に緑茶を生産していますが、インドやケニアはイギリス植民地支配のときに入ってきた紅茶を主に生産しています。特にインドやケニアなどは、自国であまり消費せず、ほとんどを世界へ輸出しています。

お茶の生産地としての日本の位置づけ

世界の食料・農林水産業に関するデータを集計しているFAOSTAT統計によると、日本のお茶の生産量は約8万トンで、世界第11位です。日本もお茶をたくさん生産、消費する国ではあるものの、消費量や作付面積の広さには限界があるため、上位に入るのは難しい状況です。しかし、緑茶のみに目を向けてみると中国に次いで世界第2位の生産量があり、近年では緑茶が健康に良い飲み物として世界でも注目されるようになり、緑茶の輸出を手掛けている茶業者も多くなってきました。
また、日本には宇治茶や静岡茶など、ブランドとなるお茶がたくさんあるため、質の高い商品で世界との競争力をつける動きも出ており、今後日本のお茶が世界で飲まれるようになることも期待されています。

緑茶も紅茶もウーロン茶も、製法が違うだけで元は同じ茶の木の葉から作られています。お茶は世界各地で親しまれているとても人気のある飲み物ですが、それぞれの飲み方や文化を調べてみると、納得する面もあったのではないでしょうか。やはり日本人は緑茶が好きなのですね。日本が世界に誇る緑茶を、今後も注目してください。