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83歳にして今なお現役!ロックな壁画家・木村英輝さんの情熱の源とは?

2025.08.01

 
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壁画を描いている木村英輝さんの画像

独特の色彩と力強い線が特長の作風で魅了する壁画家・絵師の木村英輝さん。京都の街の至るところで、木村さんの作品を目にします。還暦を超えてから画家としてデビューし、83歳を超えた今なお精力的に活動する木村さんのここだけのインタビューです。

目次

壁画家・絵師 木村 英輝さん

1942年大阪府泉大津市生まれ。京都市立美術大学図案科卒業後、同学の講師を務める。1960年代末から70年代にかけて、日本のロックの黎明期に今や伝説となった数々のイベントをプロデュース。その名は全国に広く知られるようになる。そして還暦を迎え絵師として画業に専念。国内外で手がけた壁画や襖絵は、200点を超す。83歳の現在も、つねに制作現場に立ち精力的に創作活動を続けている。著書に『生きる儘』『無我夢中』等がある。

【木村英輝オフィシャルサイト】https://ki-yan.com

木村英輝さんの絵を身近に楽しめるグッズも展開中! 詳しくはオンラインストアhttps://www.ki-yan-stuzio.comまで。

1.日本のロック文化を拓いたプロデューサーが、還暦を超えて画家デビュー!

Tシャツ姿で絵を描く木村さんの画像

Tシャツ姿で精力的に活動する木村さん。巨大な作品に取り組む。

街の飲食店や病院、寺社など京都の街でその絵を見たことがない人はいないほど、力強い壁画を手がける木村英輝さん。全共闘時代に「俺らは文化的な革命をしよう」と、かつて京都の街で、日本初のロックフェスを開催するなど数々の音楽イベントのプロデュースを手がけ、若者文化の先端で活躍してきました。

そんな木村さんが「画家宣言」をしたのは還暦を超えてから。小さい頃から絵が得意だった木村さんが、自分にしか描けない絵を改めて模索したいと取り組み始め、以降、数百点にも上る作品を生み出し、街を彩るシンボル的な「絵」で人々に知られるようになります。そして、83歳となった今も創作への意欲と情熱は、ますます熱く高まり続けています。その湧き出る活力の源をここだけのインタビューでお聞きしました。

2.創作への活力の源は、故郷の「だんじり祭り」にあり!

木村さんが描いた京都青蓮院門跡の襖絵の画像

平成の襖絵を目指し構想から2ヵ月かけて完成させた京都・青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)の襖絵。

「大阪府の泉大津市で生まれ育ったのですが、“だんじり祭り”が盛んで、町をあげて熱狂したものです。また、漁師町の網元だった気骨のある祖父の血も受け継いでいるんでしょうね。なにかとすぐに熱くなるタイプなんです」

そんな熱しやすい濃密な気風の地で育った木村さんは、祭りという伝統文化と、そこで培われた町の人たちの想いとパワーに通じるエネルギッシュで熱い気性の持ち主です。好きなモノやコトに出合ったら、時さえ忘れ、加速度を増して一直線に突き進んでいきます。

そして、2つめは、人前で絵を描いてそれを喜ばれるのがうれしいというエンターテインメント精神です。元来、木村さんは、絵を描くことが大好きな子どもとして鋭敏な感性を育んできました。

「道の真ん中で、地面に絵を描いていて、それを見ていた近所のおばちゃんが、目を輝かして驚いて、声をあげてほめてくれたのです。それがすごくうれしくてね」

自分の作品を見た多くの人々が喜ぶ様子に接し、自分自身も楽しみ、面白がることに夢中になっていきます。見た人の心を動かし、一緒になって感動を共有したい。壁画を中心とした活動には、木村さんのそんな想いが現れています。

3.すべてが「成りゆき」。好きなほうに向かって力強く前進!

木村さんが初めて手がけた犀のファミリーの壁画の画像

木村さんが初めて手がけたのは、友人のお店の壁画「犀のファミリー」。

「昔から、目的を決めてそれに向かって予定通り進んでいくようなことはしなかったかなあ。あれかこれか悩んだときは、自分はどっちが好きかを基準に道を選んできました」

木村さんの生き方の根本は、すべてが「成りゆき」と言い切ります。感性のアンテナを研ぎ澄まし、「好きなほう」に向かって、力強く前進する。つねに自分に忠実で、好きなモノやコトに出合ったら、感覚のおもむくままに無我夢中で、創作活動を続けてきました。

ほかの芸術家たちが、個性や独創性を求め、それが目的となっているように感じた木村さん。

「独創的になるのが目的ではない。好きなことを貫くことが第一で、結果として自分の独創性が出たらいいんです」

そんな木村さんが、大切にしているのが、何が好きなのかという判断基準なのです。

60歳を過ぎ、画業に専念しようと、美術の世界を改めて見渡したとき、木村さんが追究したい表現として浮かんだのが、アメリカのポップアートの世界でした。ポップアートは、1960年代に欧米を中心に隆盛した芸術運動で、アンディ・ウォーホルなどで知られる大衆文化や消費社会をテーマにした明解な表現です。力強い線と鮮やかな色彩感覚で描かれているのは、シンプルで明解な新しい次元の「絵」でした。

「わかりやすく、生命力に満ち、単純に心に訴える力がある。見る人が驚き、心地よい衝撃を受けて、強い印象を残す。ああ、これが好きだと確信したのです」

そして誰の目にも親しみやすい、犀やひまわりなど、さまざまな動植物を題材に、壁画を手がけて、街の空間を彩っていきます。

最初に木村さんが描いた壁画は犀の親子。構想では色をショッキングピンクに塗る予定でしたが、実際に描いてみると、下絵で使ったワインレッドの色が空間にぴったりはまり、そのまま活かすことに。そんな「成りゆき」の感性を大切にし、木村さんは画風を確立させていきます。

木村さんが大阪北野病院の3階から5階の壁に描いたひまわりの壁画の画像

3~5階まで一面に描かれたひまわりの壁画(大阪・北野病院)。

4.大胆な色使いで、新次元の「花鳥風月」を描く!

木村さんが描いた京都にあるホテルの壁画の画像

木村さんが描いた京都にあるボウリング場の壁画の画像

上/近年のテーマが感じられる壁画(京都・HOTEL MASTAY神宮道)。下/求められたら、どんな場所にも描く木村さん。ボウリング場にも(京都・MKボウル上賀茂)。

木村さんは、今も自らの直感に即して前進していく独創の姿勢を貫いています。

「次へ次へと、心の底には、燃えるような熱情や意欲は、途絶えることなくあります。変わらず貫いているのは、“無我夢中”であり“生きるまま”という姿勢です」

そして木村さんは、また新たなる画風にたどりつきつつあります。

「今興味があるのは、日本の伝統的なモチーフである花鳥風月です。そこに旧態の、同系色の落ち着いた調和のある色合いを描いていくのではなく、大胆な補色関係のコントラストを強調して、これまでにない、新しいニュアンスを前面に出していきました」

木村さんは、次のステップを模索する試みの積み重ねで、進化し続けています。

「変わろうと思って変わっているのではなく、身体や手が直感で動いて、力強い線を描き、色目を選んでいます。それは、真っ白な空間に自分自身の感性が生きて、そこに湧き立っているという感じなのです」

木村さんは歩みを止めることがありません。自分の中にある、自然で正直な衝動を信じて心と頭が、筆先に集中して動き出すのでしょう。そんな木村さんが、次はどんな新しい絵で楽しませてくれるのか。期待がますます高まっていきます。

5.好きな料理とおいしいお茶が休憩と充電の必需品!

自宅にしつらえた茶室に座ってお茶を飲む木村さんの画像

幼い頃に描いた虎の絵を掛け軸に掲げた茶室。

木村さんは、創作を朝9時から夕方5時までと、決めているそうです。

「取り組み始めると熱中して、いつまでも続けてしまうので、あえて“定時”を決めて動いています」

そんな木村さんの工房の一角には、大胆に孔雀が描かれた茶室があります。自作の茶碗を手に話す木村さんは、緑茶やほうじ茶が好みだそうです。

「茶道に通じた知人も多く、こうして遊び心でつくってみました」

人が集まりそこから美しい縁が生まれ広がっていく。人を喜ばせたいという想いの強い木村さんの願いにふさわしい、素晴らしい空間です。

ほかにも、創作活動の力を保つため、料理は休息と充電に欠かせません。

朝食をしっかり摂ることが健康法だという木村さんは、ときにキッチンに立って、じゃがいもを千切りにして、炒めてガレットをつくることも。また、大阪生まれの木村さんは、粉もんにも、こだわりがあります。

「お好み焼きに関してはうるさいですよ。粉の量など自分なりの加減があり、これだけは自分でいつもやっています。こういうちょっとした料理づくりは、リラックスして楽しんでいます」

それから最近の楽しみにお孫さんとのひとときをあげられました。

「小学4年生になった孫と、このごろ仲よしなんです。“ひっくん”と友だちみたいに呼ばれて、遊んでもらっています」

知人や家族とのひとときで、パワーを蓄え、新たな創作に挑みます。

木村さんの絵が描かれた茶器が飾ってある棚の画像

碗一つひとつに木村さんの絵が描かれている。

6.まとめ

日本のロック文化を拓いたプロデューサーながら、還暦を超えてから画家になり、精力的に活動する木村英輝さんのインタビューをお届けしました。京都をはじめ、街の至るところで目にする木村さんの力強い作品は、感覚のおもむくままに無我夢中で、「成りゆき」の感性を大切にすることで生み出されてきました。83歳を超えた今なお新たな画境を突き進む木村さんの今後の作品に、期待が高まります。


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