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あんこライター激推しの夏のお菓子3選|京都の行事と楽しむ和菓子

2024.05.01

 
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夏の和菓子の画像

あんこを愛して止まない人といえば、関西を中心にTV出演・執筆など“あんこライター”として活躍するかがたにのりこさん。今回は6〜8月に食べたい和菓子について、熱いエッセイを書き下ろしてもらいました。お茶のお供や京都土産の参考にしてください。

目次

かがたにのりこさんの画像

かがたにのりこ/石川県金沢市出身のあんこ熱愛ライター。和菓子と加賀棒茶に囲まれて育ち、大学進学を機に京都へ。京都のあらゆる和菓子に心を躍らせながら、さまざまな媒体やイベントであんこの魅力を発信している。

1.〈6月〉夏越に欠かせない!京都発祥の和菓子「みな月」

みな月のイラストの画像

「みな月」は、三角形のういろうの上に小豆がゴロゴロとのった、独特の見た目の和菓子です。

みな月をこよなく愛し、これまでに70種ほどを食べ比べてきたかがたにさんのみな月への思いとは?

■氷を模している?無病息災を願って食べる縁起菓子

氷のブロック画像

水無月。いわずと知れた旧暦6月の異称ですが、京都に暮らす人にとっては生菓子としての呼び名の方が親しみ深いかもしれませんね。今年も町の菓子屋の軒先に「みな月」と染め抜かれた小さな幟がひらひらと誘うように揺れる季節になりました。「うわぁ、もう1年も半分まで来たのか!」という驚きが、年々濃くなっているのは私だけではないでしょう。

過ぎた半年の穢れを払い、来たる半年の無病息災を願って食べるのは、旧暦6月1日の「氷の節句」や「氷の朔日(さくじつ)」といわれる年中行事に由来。その昔、御所では、冬にできた天然氷を「氷室(ひむろ)」と呼ばれる貯蔵庫に保管して、この日に献上された氷を口にして暑気払いをしたそうです。そして、冷蔵庫も冷凍庫もない時代に氷を口にすることができない庶民が、夏場の氷に憧れて拵えたお菓子が「みな月」だといわれています。

■みんな大好き、水無月!?

お茶とみな月の画像

散らした小豆の赤色は邪気を払うと信じられ、三角形は氷を表しているのだと教えてもらったのは、京都暮らしを始めた大学時代のバイト先にて。当時の正直な感想を申しますと「これを氷だと言い張るのは無理すぎひん?」でしたが、毎年食べているうちにじわじわと好きになり、今では欠かせない存在となりました。

誰もが簡単に氷を手に入れられる時代になっても、今なおニセモノの氷が愛されているなんて面白いですよね。

「みな月」の由来は「皆、好き」からだと、まことしやかに伝えたら、数百年後の人がうっかり信じてくれたりしないでしょうか。

2.〈7月〉暑い季節に涼を運んでくれる「うちわ煎餅」

うちわ煎餅のイラスト画像

見た目の涼やかさとかわいらしさに、思わず笑みがこぼれるうちわ型の煎餅は、夏のお茶時間を涼やかにしてくれます。

小さい頃からうちわ煎餅が好きだったと話すかがたにさんの思い出話をお届けします。

■絵柄・形が群を抜いてかわいい!

10枚のうちわ煎餅・都の風の画像

世の中には、それ自体は食べられるわけではないけれど、それがくっついていることで、ご馳走感が増したり、心がウキウキしたりするものってありますよね。チキンライスのてっぺんに立てられた旗、手羽中チューリップの持ち手に巻かれたリボン、カクテルに添えられた極細の2本のストロー。私にとっては、竹楊枝の刺さったうちわ型のお煎餅もそのひとつです。

お煎餅は材料に季節感がない分、絵柄や形に趣向を凝らしたものが多く、その中でも群を抜いて愛らしいのがうちわ型だと思います。小さい頃からすり蜜で化粧引きをしたお煎餅が大好物だった私は、夏になると、大きな缶の詰合せに数枚しか入っていないうちわ型のお煎餅を狙って目を光らせていました。細い柄を持ってパタパタと煽いでみたり、美しい絵柄を飽きもせず眺めたり。

■うちわ煎餅には実は2タイプあり!

かごに入ったうちわ煎餅の画像

うちわ煎餅には大きく分けて、餅米からできているタイプと、小麦粉・卵にバターやマーガリンなどの油脂を加えたタイプがありますが、そのどちらにも共通するのが、小気味よい食感ではないでしょうか。

パリパリ、サクサクと和菓子の中でも、とりわけリズム感というか、テンポ感のあるお菓子な気がします。そして、そのリズムに乗せられ、ついつい次の1枚を手にしてしまう「やめどきが難しいお菓子」でもありますが、竹楊枝が刺さると軽快に食べ進めたくなる誘惑も何処へやら。目の前の1枚をじっくり楽しみたい特別なお菓子へと変わるのです。

3.〈8月〉お茶好きにはたまらな〜い「宇治金時」

宇治金時かき氷のイラスト画像

宇治抹茶シロップにあずきや白玉などの和風のトッピングを加えた宇治金時は、抹茶のほのかな苦味や甘みが感じられるまさに大人のためのかき氷。

あんこ好きのかがたにさんの宇治金時の思い出とは?

■三重奏が楽しめるかき氷!

氷の旗の画像

7月25日は「かき氷の日」だそうですね。ブームの到来以降、通年で食べられる専門店が増え、そのボリュームも種類も豊かになったかき氷。愛好家の間では、氷の溶けにくい冬こそがかき氷を食すのに最高のシーズン! とおっしゃる方もいるのですが、やはりかき氷は夏が似合う食べ物だなぁと思います。

 

7月の初旬、本格的に蒸し暑くなる前に下鴨神社にお参りするのが、我が家の数少ない恒例行事。ちょうどその時期に神前式を挙げたからなのですが、以来、毎年お礼参りをすることにしています。その際、必ず立ち寄るのが、糺の森にある茶店。そこでいただく宇治金時氷までひっくるめて、私の中ではお礼参りの規定コースなのです。

純白の氷に鮮やかな翠。添えられたあんこのシックな艶。それらを「抹茶あずき」のほかにも「宇治金時」と名付けた昔の人のセンスにいたるまで、粋な大人のスイーツです。口に運べば、ひんやり、さっぱり、ほっくりの三重奏。からだだけでなく、気持ちまでリセットしてくれる、私の至福のひとときです。

■冷たいかき氷は、温かいお茶と相性抜群!

冷えすぎたかなと思ったら、下鴨神社の御神紋である双葉葵が描かれた器で温かいお茶を。甘さが流され、冷たさで麻痺していた口の中に知覚が戻り、お茶の香りがふわっと鼻に抜けるあの感じ。暑い時期は冷茶もよいですが、かき氷後の熱い一服もまた格別です。

4.まとめ

あんこライター・かがたにのりこさんの夏のお菓子のエッセイ、いかがでしたか? 6月になると京都の和菓子屋さんの軒に並ぶ「みな月」、夏のお茶時間に涼を運んでくれる「うちわ煎餅」、抹茶好きには欠かせないかき氷「宇治金時」……。

季節の甘味をおともにすれば、これからの暑い毎日も乗り越えていけそうです。みなさまもお茶のおともにぜひ、お楽しみください。


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