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カテキン豊富な深蒸し煎茶とは? その特長とおいしく味わう秘訣
2022.12.01
日本茶を選ぶ際、「若蒸し」(浅蒸し)と「深蒸し」という言葉を目にするかと思います。「自分好みのお茶を買いたいけど、その違いって何?」と悩まれる方も多いのでは?
そこで、今、健康成分カテキンで注目を集めている「深蒸し煎茶」とはどんなお茶なのか、その歴史や若蒸し煎茶との違い、おいしい淹れ方と飲み方のポイントをご紹介します。
1.健康長寿の街で爆発的な人気を誇る深蒸し煎茶とは?
その名の通り、お茶を加工する際の「蒸し時間」が短いお茶が「若蒸し」、蒸し時間が長いお茶が「深蒸し」と表記されています。
日本茶は、葉を摘み取ってからたくさんの工程を経て出荷へと至りますが、中でも大切なのが、日本茶の風味を決める、「蒸す」工程です。摘み取った茶葉を高温で蒸すことで茶葉の酸化を止めると同時に、生葉が持つ青臭さを抑えます。一般的に、若蒸し煎茶の蒸し時間は約30秒、深蒸し煎茶は約60秒とされており、中には約120秒も蒸す深蒸し煎茶もあります。
蒸し時間の長短によって、茶葉の仕上がりが異なり、そのため、お茶を淹れたときの味や香り、成分に違いが出てきます。深蒸し煎茶は、蒸し時間を長くすることによって茶葉の持つ苦味を抑え、健康成分の抽出量をアップさせるなど、さまざまなメリットが生まれる煎茶なのです。
30秒蒸しの茶葉 細くよれて、針のようにピンと伸びている。
60秒蒸しの茶葉 粉状の茶葉が多く、入り混じっている。
120秒蒸しの茶葉 さらに細かく、ほとんどが粉状態の茶葉。
深蒸し煎茶は、高度経済成長期に、お茶の産地として有名な静岡県の牧之原で生まれました。比較的温暖な平地であるため、茶葉が日光を浴びて分厚くなり、通常の蒸し時間では、おいしいお茶に仕上がりませんでした。その悩みを克服するため、蒸し時間を長くすることで、お茶の渋みを抑え、まろやかな味わいを実現しました。現在でも、静岡県で生産されるお茶のほとんどが深蒸し煎茶です。
そんな深蒸し煎茶が全国的に有名になったきっかけは、2011年に放送されたテレビ番組でした。深蒸し煎茶の産地である静岡県掛川市が長寿の街と話題になり、市民は子どもからお年寄りまで一日に何杯も深蒸し煎茶を飲んでいたと紹介されました。その後、深蒸し煎茶の健康成分に注目が集まり、一躍人気に火がつきます。今では、深蒸し煎茶は全国的に生産され、その生産量は若蒸し煎茶をしのぐほどともいわれています。
2.深蒸し煎茶に多く含まれる栄養素
深蒸し煎茶は、若蒸し煎茶に比べて蒸し時間が長いため、カテキンやビタミンCなどの健康成分の抽出量が高まります。カテキンは外敵から守る力が強く、健康維持に寄与するさまざまな働きがあることが、これまでの研究で判明しています。
また、深蒸し煎茶は長時間蒸すことによって細かくなった茶葉がお茶に混ざるため、茶葉に含まれる不水溶性の健康成分を摂取することもできます。その健康成分とは、βカロテンやビタミンE、食物繊維やクロロフィルなどです。このように、深蒸し煎茶には、若蒸し煎茶よりも多くの栄養素が含まれているのです。
3.深蒸し煎茶のおいしい淹れ方
深蒸し煎茶をよりおいしく淹れるためのポイントと手順をご紹介します。
帯網急須を選ぶ
若蒸し煎茶に比べて、茶葉が細かい深蒸し煎茶をおいしく淹れるためには、急須の「網」がポイントです。胴体部の内側に円筒状に網がぐるりと張られた帯網の急須なら、深蒸し煎茶の細かい茶葉でも目詰まりしづらく、旨みや健康成分を余すことなく抽出できます。
適量の茶葉と、適量・適温のお湯で淹れる
適量の茶葉とお湯を使って、最適温度のお湯で淹れることも、お茶をおいしく淹れるための大事なポイントです。深蒸し煎茶の場合、茶葉およそ6gに対し、お湯はおよそ200mlが適量でしょう。また、お湯の最適温度は70〜80℃です。
正しい手順でお茶を淹れる
深蒸し煎茶の旨みを抽出できる手順でお茶を淹れましょう。
❶茶碗を事前に温めておく
茶碗に沸騰したお湯を入れ、事前に温めておきます。(このお湯がほどよく湯冷ましされて、お茶を淹れるための最適温度になります。)
❷急須に茶葉と湯冷まししたお湯を入れる
計量した茶葉を急須に入れたあと、❶で湯冷まししたお湯を急須に注ぎます。
❸30〜40秒ほど蒸らす
急須にお湯を入れたら蓋をして、30〜40秒ほど蒸らします。若蒸し煎茶の抽出時間(約60秒)よりも短くすることがポイントです。
❹最後の一滴まで廻し注ぎをする
蒸らし終わったら、すべての茶碗が均一な濃度になるよう、廻し注ぎをします。2煎目もおいしく淹れるために、最後の一滴まできれいに注ぎましょう。
4.深蒸し煎茶のおいしい飲み方
深蒸し煎茶をおいしく味わうコツは、最後の一滴まで残さず飲むことです。深蒸し煎茶は、蒸し時間が長いことで茶葉が細かくなる分、湯呑に注いだ際に「底だまり」と呼ばれる沈殿物ができやすいのが特長です。この底だまりには、カテキンやビタミンCだけでなく、βカロテンやビタミンE、食物繊維、クロロフィルなどお茶の健康成分が凝縮されています! この底だまりもしっかりと飲み干して、深蒸し煎茶をおいしく健康に楽しみましょう。
5.まとめ
深蒸し煎茶とは、蒸し時間を通常よりも長くすることで茶葉の持つ苦味を抑え、旨みとコク、そして健康成分の抽出量をアップさせたお茶なのです。
「自分の健康は自分で守る」という意識の高まりとともに、注目が集まっているカテキンたっぷりの日本茶。その中でも特にカテキンやその他の栄養素を豊富に含む「深蒸し煎茶」を飲んで、健やかでおいしいお茶時間をお過ごしください。