製法の違いで分けるお茶の種類

製法の違いで分けるお茶の種類

緑茶やウーロン茶、紅茶などそれぞれ味や香り、色などが全く異なるため、お茶の葉の種類も違うと思っている方もいるかもしれません。実はこれらの原料となるお茶の種類は同じであり、同じ茶の木を原料に作られています。なぜ同じ種類の茶葉で、このように違うものができ上がるのでしょうか。ここでは製法の違いによるお茶の種類について、ご紹介いたします。

お茶の種類は茶葉の製法で分かれる

緑茶は日本、ウーロン茶は中国、紅茶はイギリスなどのヨーロッパというイメージがあり、日本は日本産のお茶の木を、中国は中国原産のお茶の木を、紅茶は西洋で採れるお茶の木を使っていると勘違いされることがあります。しかし、これらのお茶の原料は「茶の木」と呼ばれる1種類のみです。お米にも「ササニシキ」や「コシヒカリ」があるように、茶の木にもそれぞれ栽培される土地に合わせて改良された品種はあるものの、同じ茶の木であることに違いはありません。
緑茶、紅茶やウーロン茶を比べると、色や香り、味が全く異なりますが、これは発酵が関係しています。茶葉にはポリフェノールオキシダーゼ(ラッカーゼ)と呼ばれる酸化酵素が含まれており、摘んだ後そのままにしておくと徐々に発酵していきます。発酵が進むと、茶葉の色や香りが変化します。その発酵の方法や度合によって、それぞれ「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」「後発酵茶」の4種類に分けられるのです。

不発酵茶=緑茶

不発酵茶は、その名の通り発酵をさせない製造方法で作られたお茶のことを言います。不発酵茶はお茶を摘んだ後にすぐ蒸すか、炒るかして、揉みながら乾燥させるという工程で作られます。お茶の発酵は火を入れることで止めることができるため、蒸すという工程が入ることで、発酵が止まります。日本の緑茶は不発酵茶であり、さわやかでグリーンなお茶の香りと、淹れたての色が鮮やかな緑色となるのが特徴です。
緑茶の中でも製法が分かれており、「煎茶」「深蒸し茶」「かぶせ茶」「玉露」「釜炒り茶」中国では龍井茶(ロンジン茶)などがありますが、一部の工程は違うものの、どれも発酵をさせない製法は共通しています。

煎茶

「蒸し茶」とも呼ばれ、摘み取った茶葉を蒸しあげ、揉みながら熱を加え乾燥させて仕上げます。「深蒸し茶」であれば、煎茶よりも蒸す時間を2倍ほど長くして製造します。香り成分が飛んでしまいますが、色が濃くなり、味もまろやかになる特徴があります。

釜炒り茶

釜炒り茶には蒸し系と釜炒り系があり、日本の緑茶はほとんどが蒸し茶ですが、中国や日本の一部で今でも釜炒り茶が作られています。釜炒り茶は、蒸さずに鉄の釜で炒って作るお茶で、かま香という独特の火香があるのが特徴です。

半発酵茶=ウーロン茶

半発酵茶は、摘んだお茶の葉を室(ムロ)で干しし、萎れさせます。こうすることで発酵が進んでいきますが、葉の周辺部の色が茶色に変色し始めたら火を入れ、発酵を止めます。色は緑茶と紅茶の中間くらいのような黄褐色で、苦みや渋みが消えてまろやかな味わいになります。半発酵茶の代表的なお茶はウーロン茶です。ウーロン茶にも緑茶と同じく製法が少しずつ違うものがあり、「凍頂烏龍茶」「鉄観音」「水仙」など、さまざまな種類があります。

発酵茶=紅茶

発酵茶は、途中までの製法はウーロン茶などの半発酵茶と同じですが、最後まで酵素を酸化させ、茶葉が褐色になるまで発酵させる製造方法です。途中で揉む工程を入れ、茶葉を傷つけることで発酵を促進させます。発酵茶の代表は紅茶が挙げられます。渋みのある深い味わいと芳醇な香り、淹れたお茶は鮮やかな赤、オレンジ、ルージュと言った赤褐色が特徴です。

後発酵茶=プーアル茶

後発酵茶は、緑茶と同じように摘んですぐに火を入れて発酵を止めますが、その後麹菌などの微生物によって発酵をさせる製法で作られます。後発酵は、ヨーグルトや納豆、漬物などをイメージしてもらえればわかりやすいかと思います。後発酵の代表的なお茶としてはプーアル茶が挙げられます。黄色から褐色の色が特徴で、年数が経過しているお茶ほど香りや味がよいといわれています。

このようにお茶は製法によってさまざまな味わいや香りが楽しめます。上記を参考にお茶の違いをチェックしてみてください。