お茶の湯飲み(湯呑)の種類と選び方
お茶を味わうために欠かせないのが、急須と湯呑です。お茶を淹れるたびに使う急須にはこだわっても、湯呑までは気を遣わないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。急須と同様、湯呑にも様々な種類があり、材質や製造工程の違いによってもお茶の味わいが変わってきます。特に、お客様をもてなす際に、見た目の美しさも重視する心配りは出される方もうれしいものです。
湯呑にこだわるメリット
お茶の見た目も楽しむことを美徳とする日本人。お茶の種類や飲む場面ごとに適した湯呑があることをご存知でしょうか。特別なお客様をお迎えするときは、季節を感じられる絵柄の入った湯呑、お茶が冷めやすい冬場は厚手の湯呑を使うなど、一つ一つの気配りが、おもてなしの心に通じています。
湯呑は、見た目の印象だけではなく、お茶の味を引き立てる役割もあります。家庭では、取っ手の付いたマグカップに注いでしまうという人もいるかもしれませんが、お茶の味と香りを存分に楽しむには、長い歴史の中で今の形にたどり着いた昔ながらの湯呑に勝るものはありません。忙しい毎日の中、手のひらでお茶の温かさにほっとしながら湯呑で飲む一杯のお茶は、心と身体を大いにリラックスさせてくれるでしょう。
湯呑の種類
湯呑には、その材質や製造工程の違いにより様々な種類があります。このうち、最もお茶と相性が良いとされるのが陶器製と磁器製の湯呑。このうち陶器製の湯呑は、原材料となる陶土に釉薬をかけて高温で焼成したもの。自然の素朴さとザラッとした感触、厚みのある作りを特徴としています。磁器製の湯呑は、陶石を粉々にしたものを原材料としており、強度があり、飲み口が薄く全体的に艶やかな仕上がりとなっているのが特徴です。繊細な印象を与える色合い、透明感が魅力的ですが、作りが薄い分熱が伝わりやすいため、熱々のお茶を飲みたい方には陶器製の湯呑が適しているでしょう。
湯呑を選ぶポイント
湯呑を購入する際は、飲み口の形やデザイン、手に触れた感触を確かめながら、愛着を持って長く大切にできる品を選ぶことが大切です。
湯呑の柄
お祝いの品として湯呑を贈る場合は、慶事用の湯呑が良いでしょう。鶴や亀が描かれた蓋付き湯呑は、結納や披露宴でも用いられます。無病息災の願いを込めて六瓢(6つのひょうたん)が描かれたものもおすすめです。ご夫婦やカップルにはペアの湯呑も人気があります。
湯呑の大きさ
家庭用に毎日使う湯呑には、番茶やほうじ茶をごくごくと飲める一回り大きめの湯呑がおすすめです。湯呑を選ぶときには、手の大きさにしっかりと馴染む、扱いやすい大きさのものを探しましょう。
湯呑は、取っ手の付いたマグカップとは異なり、直接手のひらに乗せて素材の持ち味やお茶の温かさを直接感じ取ることができる器です。種類も豊富で、どれを選んだら良いか悩むかもしれませんが、お茶の種類や飲む場面に応じて湯呑を使い分けるなど、いくつかの湯呑を揃えておくと、お茶の楽しみ方もより広がっていくでしょう。