お茶とお茶菓子の組み合わせと出し方

お茶とお茶菓子の組み合わせと出し方

わざわざ足を運んでくださったお客様におもてなしの気持ちを込めてお茶をお出しする際には、お茶と一緒にお茶菓子を添えられたらいかがでしょう。お茶菓子は、お茶の味を引き立てるとともに、お茶の席をさりげなく彩ります。そして、お茶とお茶菓子の出し方にも気を配ると、より一層お客様をもてなす気持ちをお伝えできるのではないでしょうか。この節では、お茶の切っても切れない相棒のお菓子に注目して、ご紹介してまいります。

お茶菓子の起源  

お茶菓子には、お茶の美味しさを引き立て、見た目の美しさや季節感、おもてなしの気持ちを伝える役割があります。鎌倉時代、禅宗の生活に「喫茶」の習慣が根付き始めた頃に中国から伝わった喫茶に使用する菓子「点心(軽食または間食)」が、お茶菓子の起源と言われています。中国の点心は、肉まんや粽(ちまき)などどちらかというとおかずのようなものでしたが、日本の和菓子の起源は干し柿といわれています。そして小豆を使ってアレンジした饅頭や羊羹などが、点心として広まっていきました。その後、室町時代に入ると禅宗と武士の精神を結びつけた「茶の湯」が確立し、これらは、お茶とともに楽しむ「お茶菓子」もしくは「お茶受け菓子」として広く知られるようになります。

お茶菓子とお茶のおすすめの組み合わせ  

お茶菓子とお茶の組み合わせに、特別な決まりはありませんが、お菓子の味や食感とのバランスを考えて出すことが大切です。好みも人それぞれですが、下記のような組み合わせを楽しむことができます。

甘いお菓子と苦みのあるお茶

甘みが強い鹿の子や饅頭、羊羹には、なめらかな味わいを引き立てる玉露や抹茶など、味の濃いお茶が良く合います。まったりとした食感の栗が入ったお菓子との相性も抜群です。
また、口の中をリセットする意味で、キリッとした味わいの煎茶もおすすめです。

乾いた甘いお菓子と苦みの少ないお茶

きな粉をまぶしたお菓子や焼き菓子には、喉越しが良くごくごくと飲める番茶やほうじ茶がおすすめです。後味も良く、口の中をさっぱりさせることができます。

お茶とお茶菓子の出し方とマナー  

お客様にお茶とお茶菓子を出す際は、必ずお盆の上に載せて運びましょう。お盆をテーブルのそばに仮置きした後、上座から一つずつ「どうぞ」と声をかけながら配ります。お菓子は、お客様から見てお茶の左側に置くのが基本です。お茶とお菓子を一緒に運ぶ場合は、どちらを先に出したら良いか悩むかもしれませんが、先に出したものの上を通過させる「袖越し」にならないように注意すればどちらでも構いません。また、個包装されたお菓子を出す場合は、必ず包装を取って個別のお皿に載せて出すのがマナーです。お客様が手間なく食べられるように、お菓子の種類に合わせて楊枝を添えます。なお、お皿を汚してしまいそうなときは、敷き紙を使います。

お茶は、和菓子はもちろん、焼菓子やチョコレート菓子などの洋菓子との相性も良く、種類も豊富です。お茶の楽しみ方は人それぞれ好みがありますので、いろいろな組み合わせを試してみて、お気に入りの組み合わせでお客様をおもてなししてみるのもおすすめです。