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お香がきっかけでお寺のお嫁さんに!お香のプロが語る癒やしの香り
2025.08.01
お香のある暮らしで、心豊かに過ごしませんか。お香の調合の専門家「香司(こうし)」であり「寺の嫁」でもある経験を活かし、日々の癒やしに役立つお香の使い方を発信する石濵栞さんに、心を清めてリラックスするお香の魅力と、おすすめの生活への取り入れ方を教えていただきました。
教えてくれた人
香司/石濵 栞さん
2010年に、幼少より大好きだったお香の香りを身近に感じていたくてお香の世界へ入門。2016年に教授資格を取得。願隆寺(がんりゅうじ)で「お香の作り方講座」を開催。2000人以上に教えている。著書に『ゆらゆらじんわりお香ぐらし』がある。
紹光山 願隆寺
【住所】愛知県名古屋市中村区烏森町6-142
【電話】052-471-7543
052-433-2060(お香専用)
1.お香の調合の専門家「香司」の石濵栞さんが、お香にはまったきっかけとは?
石濵さんが講座をする願隆寺。
「いい場所だな」と思うお寺には、必ずお香の香りがある
お香専門家・教授香司の石濵栞さんを訪ねてやってきたのは、閑静な住宅街にある一軒のお寺。足を踏み入れるとふわりと香りが漂い、心が落ち着いてきます。
「お寺には、そのお寺ならではの香りがありますよね。私がお香の魅力にはまったのも、お寺めぐりがきっかけなんですよ」とにこやかに出迎えてくれた石濱さん。お香をきっかけに知り合った願隆寺の住職と結婚。お寺で開催するお香講座が人気を集めています。
石濵さんは小さい頃から、お香が好きだったと話します。
「祖母が信心深い人で、家は常にお香の香りが漂っていました。よくお寺へも連れて行ってもらいましたね」
社会人になってからは一人でいろいろなお寺をめぐるようになったといいます。さまざまなお寺を訪れるうちに、石濵さんはある共通点に気づきます。
「自分がいいと感じるお寺って、すごく清らかな空気が漂っていると感じるんです。心が浄化されるような気がします。そして、必ずお香の香りがあるんです」
特に高野山が好きで何度も訪れたといいます。高野山は静謐ながら、奥へ進むとちょっと濃密で高貴な沈香(じんこう)の香りが漂い、心が落ち着くのだそうです。
祖父の法事で出合った香りをつくりたいと香司の道へ
お寺をめぐるうちに、お香の魅力に気づいた石濵さんですが、香司になるきっかけは、祖父の法事でした。
「法事で来たお坊さんが、さりげなく袂からお線香のケースを取り出して、スッと焚いたんです。それがすごくいい香りで。『えっ、何の香り?』と驚きました」
お坊さんから沈香だと教えられた石濵さんでしたが、その香りに複雑さを感じ、一つの原料だけでなく、沈香を中心にいろいろな香りを混ぜているのではと考えます。その香りをつくれるようになりたいと、香司を目指すようになりました。
2.心が落ち着くお香の香り。お香ならではの魅力とは?
調合したお香に火をつけて香りを確認する石濵さん。
お香の鎮静作用で深い癒やしを感じる
会社員として働きながら、プライベートで香司になる勉強を始めた石濵さん。お香のすごさを、すぐに実感したといいます。
「働いているとイライラすることってどうしてもあるじゃないですか。でも、お香をつくり始めると落ち着くんです」
お香は、鎮静作用のあるものが多く、もともと薬として使われていた原料もあるのだといいます。お香をつくっている間、香りに触れていると精神が安らぎ、集中力が高まります。
単に香りを感じるためなら、お香でなくても、アロマオイルやポプリなど、ほかにも方法があります。しかし、お香ならではの魅力に気づいてほしいと石濵さん。
「例えばアロマオイルなどは、リフレッシュや気分転換にいいと思います。どちらかというと気分を上げるイメージです。お香は、深い癒やしをもたらしてくれると思っています。それこそ、お寺で感じるような、心が洗われるような気分です」
産地によって、香りはさまざま
日本の和の香りは、沈香か白檀(びゃくだん)、どちらかが入っているものと定義されています。現在は白檀を主原料にしたものが多く出回っているようです。
「実は沈香や白檀は、産地によって香りが違うんです。ベトナムあたりで採れる沈香は甘い香りがしますね」
インドネシア産の沈香はツンと尖ったような辛い香りと、産地によって全然違うのだとか。石濵さんが調合に使う原料を見せてもらうと、「シャム沈香(インドシナ半島周辺)」「オーストラリア白檀」「老山白檀」など、さまざまな沈香と白檀が。それらを複雑に組合せて心地よい香りを生み出すのが、石濵さんです。
「お寺で焚かれているのは酸味を感じる辛めの香りが多いです。私も最近は辛めの香りが好み。勉強を始めた当初は、甘い華やかな香りも好きだったんですけどね」
甘く華やかな香りなら白檀。リラックスしたいとき、それこそ瞑想するときなどは白檀の甘い香りが合うといいます。
【代表的な2つの原料】
沈香
ジンチョウゲ科の常緑高木の中に樹脂が凝結してできたもの で、大変貴重で高価な香原料。産地、固体によって香りの質が異なる。鎮静作用にすぐれているといわれている。
白檀
白檀科の半寄生常緑高木。葉や皮はほとんど香らず、芯材の部分を使用する。世界的にも広く使われる香料で、インドのマイソール地方のものがもっとも良質で老山白檀と呼ばれる。
3.お香を焚いて日々を豊かに
お香を知れば知るほど、人生が好転してきたと笑顔で話す石濵さん。お香がつないだ縁で、講座など幅広く活躍する。
一筋の煙に想いを込めて。ご先祖様にお線香を
お寺にいつもお香の香りが漂っているように、仏教とお香は切っても切れない関係です。仏教では、お香を焚くことで、不浄を祓い、心を清めるとされています。
「私は、お香を焚く前に掃除をして、場を清めるようにしています。場を整えると、自分のなかの雑念や余計な考えも自然と整えられていきます」
そうして深呼吸をして、お香を仏様に捧げる気持ちで献香文をとなえてお香を焚くのだといいます。献香文とは、お香の煙が行き渡り、一切の仏を供養するようにとの意味が込められた経文。
「ある密教の阿闍梨(あじゃり)様とお話をしたときに、不思議なエピソードをきいたんです」
その阿闍梨様は、ある病気の子どものために献香文をとなえながらお香を焚き、祈祷をしたといいます。すると、その子から夢に阿闍梨様がでてきた、しかも阿闍梨様の香りがすると連絡があったのです。その話をきいたとき、届けたいと強く願えば、相手に届くのだと感動した石濵さん。石濵さんもお香の香りは必ず仏様に届くという気持ちで焚いています。
供養の仕方やご先祖様への思いも人それぞれ。最近では、コーヒーやラベンダーなど、故人の好きだった香りをお線香にして供えるという方も増えています。
「思いが込められていれば、それがご供養になると思います。今の時代、お墓参りに行くことや仏壇をつくることが難しいこともあるかもしれませんが、その人なりの方法でいいと思います」
お仏壇を置けない家庭では、ひとつ場所を決めて、お線香を焚くのもおすすめだという石濵さん。
「決めた場所を仏壇として仮定してしまうんです。お線香を焚いて手を合せる。毎日お線香を焚くのは、ご先祖様への供養だけでなく、生きている私たちにもいいことがあるんです」
お線香を、自分のために焚いてみる
毎日同じ香りを焚いていても、体調や気分によって、香りの感じ方が違うのだといいます。
「香りの感じ方が、自身を知るバロメーターになるんです。今日は調子がいいなとか、つかれているなとか。だからこそ、ご先祖様のためだけでなく、自分自身のためにもお線香を毎日焚く生活をしてほしいですね。癒やし効果もありますから、おすすめです」
ふわりとやさしく立ち上る線香の煙。
4.まとめ
お香といえば、お墓参りやお仏壇に供える線香を思い浮かべる方も多いと思います。ですが、ご先祖様のためだけでなく、自身にとってもお香を焚くのはよい影響をもたらします。お香のある暮らしで、心豊かに。白檀や沈香など昔ながらの香りをはじめ、さまざまなお香があります。お気に入りのお香を見つけて、生活に癒やしをもたらしませんか。