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【今更聞けない】新しい時代のお中元マナー 万能な贈り物はお茶だった!
2022.07.01
日本の夏といえばお中元です。会えなくても大切な方やお世話になった方へ日々の気持ちを伝えるのに贈り物は最適です。京都マナー文化協会代表理事の山田喜久子さんに、お中元を送る際の時期やマナー、いただいたときの対応などを教えてもらいました。
一般社団法人 京都マナー文化協会
代表理事 山田喜久子さん
お中元は、気持ちを伝えるよいきっかけです
日本の夏には、お世話になった方への感謝の気持ちを込めて、贈り物をするお中元の風習があります。「中元」とは、もともと中国道教の三元と呼ばれる行事の1つで、旧暦7月15日のことを指します。仏教の盂蘭盆会(うらぼんえ)の風習とも重なり合い、日本においてはお盆の行事として祖先の霊を供養し、息災を願う日とされるようになりました。江戸時代以降、お盆の礼として、親類やお世話になった人に贈り物をする習慣へと発展して現在にいたります。
「近年のライフスタイルでは、お中元を省略される方も増えていますが、コロナ禍で人に会うことが難しくなったこともあり、お中元の意味が見直されています」と教えてくれたのは、京都マナー文化協会の山田喜久子さん。また、お中元のようなフォーマルな贈り物が減る一方で、父の日、母の日や誕生日など、カジュアルなギフトは増えているのだとか。
「贈り物は、会えない方や日頃お世話になっている方へ気持ちを伝えるよい方法です。お中元も難しく考えずに、“感謝”を伝える手段として、ぜひ活用していただきたいですね」
まずは行動することが大事という山田さん。フォーマルなマナーや形式に尻込みしたり、煩わしいことと捉えて、人付き合いが希薄になるのは寂しいことです。
「本来は、お中元を渡す際、(気を遣わせないために)予告をせず直接持参するのが最も丁寧とされます。しかし、現代ではかえって気を遣わせてしまうかもしれませんね。時代の変化とともにマナーも変化します。形式が変わっても、感謝の気持ちを伝えたいという本質は変わりません。相手を気遣う、すてきな風習を大切にしたいですね」
とはいえ、実際に贈ろうと思うと、やはり指針がほしいものです。山田さんにお中元で気遣いたいポイントをいくつかお伺いしました。
今さら聞けない お中元のマナー
せっかくの気持ちも、ただ物を送っておしまいでは、感謝の気持ちが届かないかも……。会いにくい今だからこそ、より相手に気持ちを伝える方法をお聞きしました。
Q1.いつ贈ればいい?
A.7月中旬が一般的。でも地域によって異なるので注意!
関東では7月初旬~7月15日頃、東海、関西をはじめ西日本の多くでは、7月中旬~8月15日頃といったように、地域により違いがあります。ただ最近では時期が早まる傾向にあるので、迷ったら7月中旬までに贈るとよいでしょう。表書きは「お中元」としますが、時期が遅れた場合は、「暑中お見舞い」「残暑お見舞い」として贈ることもできます。
Q2.どんなものを贈ればいい?
A.相手を想って選ぼう!それでも迷ったら日本茶は万能な贈り物
好みやご家族の人数がわかっているのであれば、相手に合せて品物選びをするのがベストです。それが難しい場合は、好みを問わない、日持ちのするお菓子や食品、嗜好品がよいでしょう。ジュースやゼリーなどの夏らしい涼感のあるものや、ちょっとした贅沢感のあるものも喜ばれます。通販などを上手に利用して、喜んでいただけるものを選びましょう。
贈り先によって好みはさまざまですが、何を贈ろうか迷ったときは、日本茶がおすすめ。誰もが日常的に親しんでいる日本茶は、あまり場所も取らず、保存もききやすいので、相手に喜ばれやすい品です。また、お茶の産地の通販なら、販売店などを通さずに直送されるので、より新鮮でおいしいお茶を贈ることができます。味や香りにこだわった日本茶は、感謝を伝える品にぴったり。
Q3.贈る時に気をつけたいことは?
A.気持ちをひと言添えておくとよりグッド!
今は品物を宅配便などで送るのが主流です。添え状が同封できるのであれば、ひと言感謝の気持ちを書いて送りましょう。別途、手書きの挨拶状を送るのが丁寧な方法ですが、今の時代に合せて、メールなどで「〇日着で送らせていただきました」とお知らせする方法でもよいでしょう。マナーに不安があれば、「失礼かとも思いましたが」「メールで失礼します」といった言葉を添えるのも方法の1つです。今は直接会うことが難しい時期だからこそ、メールや電話など、便利にやりとりができるツールを活用して、大切な方へ感謝を伝えましょう。
Q4.いただいたときはどうする?
A.お礼の気持ちを伝えましょう。お返事は早めに
お中元をいただいたら、必ずお礼の連絡を入れましょう。メールや電話でもかまいませんので、まずは感謝の気持ちを伝えます。2、3日中に改めて手紙や葉書でお礼を伝えるとより丁寧です。お礼を伝える際、味の感想や「家族みんなでいただきました」など、具体的なエピソードを添えると喜びがさらに伝わります。また、相手の健康を気遣う言葉を必ず添えましょう。お中元はお世話になっている方へのお礼の意味合いですので、お返しは基本的に必要ありません。お互いお世話になっているなど、お返しをしたほうがよい関係性の場合には相手と同程度以内で負担を感じさせないものを贈るとよいでしょう。
おわりに
まだまだ直接会うことが叶わないこの頃。相手との繋がりを強く意識する時代になりました。日頃の感謝を込めて大切な人やお世話になった方へ、気持ちを伝えるのにお中元はとてもよいきっかけです。日本古来の風習に重ねてマナーを重んじつつ、時代による変化を柔軟に取り入れていきましょう。物に溢れた時代、何を贈ればよいのか迷ったら、日本茶はいかがですか。日常的に消費する嗜好品で、ちょっと贅沢なものを選びましょう。日持ちもするので相手の都合にも合います。もちろん、大切なのが相手を思う気持ち。先様のよろこぶ顔を思い浮かべながら、お中元に贈り物を送りましょう。