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【エッセイ】新年を彩るお茶時間。懐かしい昭和の思い出をふりかえる
2026.01.01

新年は、さまざまな行事やイベントがあります。子どもの頃に経験した家族との出来事や友人との思い出は、寒い冬でもあたたかいものです。懐かしい昭和のあの頃には、いつもお茶がありました。古きよき時代を回想するお茶時間のエッセイを、昭和時代をよく知る文筆家の思い出とともにお届けします。
文:あさかよしこ/文筆家。秋田県生まれ。東洋大学短期大学卒業後、ライターの道へ進む。インタビュー、エッセイ、劇評、書評、映画評、ルポルタージュなど、幅広いジャンルを得意とする。好きなお茶はほうじ茶。
1.【お正月】1年に一番のハレの日に楽しむお干菓子と煎茶

お干菓子と煎茶の香りに、あの凛とした佇まいが、よみがえる。
子どもの頃、お正月は1年で一番のハレの日でした。その頃の我が家のお正月は、1日目は家族で過ごしますが、2日目はお年始のお客様や、檀家のお寺のご住職様がいらっしゃるのが習わしでした。
そのときにお煎茶と一緒にお出しするのは、決まって干支や松竹梅など、縁起のよい形をした美しいお干菓子です。
ある年のお正月、ご住職様の代理で、息子さんがいらしてくださいました。彼は読経のあと、お煎茶でのどを潤し小さく「おいしい」とつぶやくと、懐から真白な懐紙を取り出し、皿の上のお干菓子を丁寧に包んで懐に入れてお帰りになりました。そのときの彼の所作の美しかったこと。
今でも、かぐわしい煎茶で、お正月のお干菓子をいただくたびに、あの若いお坊様のまだほっそりとしたうなじと、青々と剃り上げられた頭の清潔さを思い出し、まだ恋とも呼べなかったあのときの気持ちに少しだけ胸がざわめきます。
2.【小正月】甘納豆をつまみ、深蒸し茶を味わう

女正月には、甘いお多福豆がよく似合う、なんて……。
「女正月」というちょっとなまめかしく、ちょっと秘密めいたニュアンスのあるこの言葉を、向田邦子さん原案のテレビドラマで知りました。元日から1月7日までを「大正月」と呼ぶことに対して、1月15日は「小正月」といいますが、ちょうどこの日あたりを「女正月」とも呼び、俳句の季語では「めしょうがつ」というのだそうです。
どちらもお正月に大掃除、お節料理づくり、接待と忙しく立ち働いた主婦たちをねぎらうための日なのですね。
我が家でも、正月飾りも門松も取れて穏やかさを取り戻したある日、母の親しい友人たちが客間に集っていました。お銚子も何本か並んだ昼食のあとに、お多福豆の甘納豆をつまみ、深蒸し茶をゆっくりと味わいながらくつろいでいたことを思い出します。珍しく横座りなんかして時折、小さな笑い声をあげて語らいながら。女正月とお多福豆、いくつになってもお喋りは女の元気の源です。
3.【節分】ほうじ茶でいただく節分豆と五色豆

豆に願いを込めて「福は内!」そして「春よ来い」。
故郷の雪国では、立春を翌日に控えた節分の日も、まだ真冬。朝早く起きてみると、窓ガラスいっぱいに、レースで編んだドイリーのような白い模様が張り付いています。夜中にガラスについた水分が凍ってそんな現象が起きるのです。
でも、今日は節分。夜は一家そろって豆まきです。玄関から外に向けて「鬼は外ッ!」と叫ぶ母の声が、気のせいかいつもより力強く聞こえるのは、当時の“嫁”の“気晴らし”だったのでしょうか。
その母の姑に当たる祖母が、歳の数だけの豆では満足できない私の耳元で「トシをとると、トシの数だけ豆を拾ったり、食べたりするのが大変でね」とささやいて私の両手いっぱいに豆を握らせてくれました。
そんな半世紀も前の思い出話をしながら、ほうじ茶でいただく素朴な節分豆と、カラフルにコーティングされた五色豆。その豆をポリポリと噛む音が、春の気配を連れてきます。「福はぁ~内ッ!」
4.まとめ
古きよき昭和の時代を回想するお茶時間のエッセイをお届けしましたが、いかがでしたか? お正月や小正月、節分といった新年の行事やイベントには、いつもお茶がありました。懐かしいあの頃を思い出しながら、味わい深いあたたかなお茶をいただいてみてはいかがでしょうか。





