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世界で愛される「いちご泥棒」柄。ウィリアム・モリスの魅力に迫る!
2025.12.01

植物や花、葉、鳥など、自然を繊細に描くデザイナー、ウィリアム・モリス。最も人気の高い「いちご泥棒」柄は、服飾やインテリアなどに多く使用され、世代を問わずに愛されています。時代を超えても色あせることのない、モリスデザインの魅力をひもときます。
目次
1.モダンデザインの父ウィリアム・モリスとは?
「いちご泥棒」の柄をはじめ、今でも高く評価されるデザインを数多く生み出したウィリアム・モリス。19世紀のイギリスを代表するデザイナーであり、詩人、作家、社会主義者としても活躍しました。
そんなモリスは1834年、イングランドのウォルサムストウの裕福な家庭に生まれます。6歳の頃に移り住んだ家の近くのエピングの森で、目にするすべての木や鳥の名前を覚えるほど特別な才能の持ち主でした。
熱心な読書家で、建築や歴史にも興味を持ち、オックスフォード大学に進学しました。のちに画家として活躍するエドワード・バーン=ジョーンズに出会います。2人は美術評論家のジョン・ラスキンなどの影響を受け、芸術や文学、社会改革などの興味を共有し、強い絆で結ばれます。
1859年にジェイン・バーデンと結婚したモリスは、仲間たちと新居「レッド・ハウス」を設計します。内装を担当しました。

建築家のフィリップ・ウェッブとモリスが協力して設計した「レッド・ハウス」。モリスの理想的な住まいを反映している。
この共同制作の経験から、モリス・マーシャル・フォークナー商会(のちに「モリス商会」と改名)を設立し、家具や壁紙、織物、ガラス、陶器など幅広い分野で美術工芸品を制作します。その後、1世紀近くにわたって、世界で最も影響力のあるデザイン企業の一つとして存続することになります。
19世紀後半、イギリスでは産業革命の影響で大量生産が進みます。モリスは工業製品の質の低下に対抗し、手仕事による美しい工芸品を生み出す「アーツ&クラフツ運動」を始めます。
芸術と工芸は人々の暮らしをよりよい方向に変革するという信念で、機械による均一な製品ではなく、独自の美しさを持った製品の重要性を強調しました。この運動は、その後のモダニズム運動やバウハウス運動、日本の民藝運動に繋がり、手工芸とデザインの融合が再び注目されるきっかけとなりました。
また、モリスは詩人としても高く評価され、中世の叙事詩やサーガ(北欧の英雄物語)に触発された作品を数多く執筆し、さらに社会主義運動にも積極的に参加します。彼は資本主義社会における労働者の搾取や不平等を強く批判し、理想的な社会の実現を目指しました。
彼の社会主義思想は、すべての人が美しい環境で働く権利を持つべきだという信念に基づき、彼の美的理想と社会的理想は深く結びついていました。
モリスの思想は、単なる芸術家としての枠を超え、社会全体の改革を目指すものでした。彼の「生活の中に美を」という理念は、生活の質を高め、労働者の権利を守ることが美しい社会を築く鍵であるというもの。現代にも通じるメッセージです。

モリスのデザインによる最初の壁紙「格子垣(白)」。
ウィリアム・モリスの生涯

2.世界で愛され続けるモリスデザイン
花や曲がりくねった茎、波打つ葉の巧みな配置が、自然を愛するモリスによるデザインです。その作品の一部をご紹介します。
❶モリスの自然主義を表す—「ひなぎく」 1864年

黄色いひなぎく、赤いオダマキ、赤と白の野の花々のかたまりがそれぞれ全面に散りばめられ、背景の細かい線は下草を思わせます。モリスがパターン・デザイナーとして最初期に手がけた作品の一つです。
装飾性の少なさと限定された色味がモダンな雰囲気を出しています。花の形の素朴さに、心地よい自然主義が表れており、今でも人気のある作品です。
❷点描で果実のリアルさを追求—「柘榴あるいは果実」 1866年頃

ぷっくりとした柘榴(ざくろ)、レモン、オレンジ、ピーチなどの果物が描かれています。枝分かれの淡い斜線と、小枝や実の微妙な背景によって、繰り返し模様の構造が絶妙に隠されているのがポイントです。柘榴やレモンの表面には点描が施され、熟しすぎた柘榴の果皮や種が露出しており、リアルさを増しています。
❸自然に対するあたたかな目線—「るりはこべ」 1876年

小さく可憐なるりはこべの花が、大胆に配置されたチューリップの花とカールする葉の間で存在感を放ちます。自然に対するモリスのあたたかな視線を感じられる作品です。1878年にモリス一家が移り住んだケルムスコット・ハウスのダイニングルームで壁紙として使用されていました。
❹最も有名で人気のテキスタイル—「いちご泥棒」 1883年頃

モリスが住んでいたケルムスコット・マナーの庭で、いちごをついばむ鳥を見たことがきっかけで生まれた作品です。中央に描かれた鳥たちが、いちごをついばむ姿から「いちご泥棒」と名づけられました。
インディゴ抜染に赤や黄色といった藍色以外の色を取り入れた、高度なプリント技法が話題になりました。当時から現在に至るまで、最も人気の高いデザインの一つです。
現代の暮らしになじむ「いちご泥棒」柄のブランケットも人気!

3.モリスに影響を受けた日本人
画家・竹久夢二(たけひさ ゆめじ) [1884-1934]


出典:『山へよする』竹久夢二著
モリスと同じく「生活芸術」を提唱します。モリスの図案を彷彿とさせるレタリング作品を残しています。
美術評論家・柳宗悦(やなぎ むねよし) [1889-1961]

日本で独自の「民藝運動」を発展させます。
小説家・芥川龍之介[1892-1927]

東京帝国大学時代、モリスをテーマに卒業論文を書きました。
詩人・宮沢賢治[1896-1933]

モリスの影響から「農民藝術」という概念を提唱します。
〈参考文献〉藤田治彦監修『ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡』(求龍堂)/川端康雄『ウィリアム・モリスの遺したもの デザイン・社会主義・手しごと・文学』(岩波書店)/ローワン・ベイン『ウィリアム・モリスのフラワー・パターン ヴィクトリア&アルバート博物館コレクションを中心に』(青幻舎)
4.まとめ
草花の一枚の葉に、手仕事のぬくもりに、美を見いだしたウィリアム・モリス。彼の残した模様は、時を超えてもなお、人の心にやさしく寄り添い続けています。中でも「いちご泥棒」柄は、モリスの名前を知らない人でも一度は目にしたことがあるほどに人気を博しています。インテリアや小物など、ざまざまな商品が出ているので、お気に入りを手にして、モリスの美しい世界観を楽しんでみてはいかがでしょうか。





