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祝!国宝認定 京都なのに中国様式?異国情緒漂う萬福寺の魅力に迫る!

2025.12.01

 
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開梆を叩いているところの画像

京都府宇治市にある黄檗宗(おうばくしゅう)の大本山・萬福寺(まんぷくじ)は、日本三禅宗の一つに数えられます。宇治の山の麓で開山当時の趣を今に伝える禅寺の3つの建築物が、新たに国宝に指定されました。日本文化に大きな影響をもたらした萬福寺の魅力に迫ります!

目次

教えてくれた人

黄檗山萬福寺 化主 辻󠄀岡智幸さん

黄檗山萬福寺化主の辻󠄀岡智幸さんの画像

1.黄檗山萬福寺ってどんなお寺?

黄檗宗大本山・萬福寺は、京都府宇治市にある日本三禅宗の一つに数えられます。その歴史は承応3年(1654)にさかのぼります。開山は中国僧の隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師です。隠元禅師は中国明朝時代を代表する臨済宗派の名僧で、当時すでに63歳と高齢でしたが、日本からの度重なる招請に応じて、弟子20名とともにやってきました。その後、後水尾(ごみずのお)法皇や徳川家綱の崇敬を受け、現在の地に創建されました。当初は臨済宗黄檗派と名乗っていましたが、明治9年(1876)に一宗として黄檗宗と独立しました。

隠元禅師が伝えたものは禅の教えだけでなく、美術や建築などと幅が広く、日本中に広がっていきます。なかでも木魚やインゲン豆がもっとも有名です。

2.境内全体が龍?日本の文化に融合する中国様式

「国宝に指定されるとは思っていませんでした」と、率直に話してくれたのは、萬福寺で化主(けしゅ)を務める辻󠄀岡智幸(つじおかちこう)さんです。というのも萬福寺は、開山の隠元禅師がかつていた中国・福建省の萬福寺を模しています。中国様式の建築物や異国文化が色濃いため、「日本の国の宝に認定されたことに驚いた」と辻󠄀岡さんは言います。

実際、萬福寺の境内には至るところに中国の趣を感じます。例えば、法堂(はっとう)正面の勾欄(こうらん)は、卍(まんじ)をモチーフにした卍くずし文様。中国明朝時代の禅寺に用いられ、日本のお寺ではほとんど見かけません。

異国情緒漂う法堂の前の勾欄の画像

異国情緒漂う法堂の前の勾欄。日本のお寺では、法隆寺と萬福寺のみで見ることができる。

また、「石條(せきじょう)」と呼ばれる参道は、正方形の菱形を中央に配しています。これは、龍の背中の鱗を表しており、中国では皇帝などの尊い人のみが龍の背に乗れるという考え方があります。

「そのため、この菱形の石の上を歩くことができるのは、萬福寺では当代の住職だけです」

境内で縦横にとつながる参道の石條の画像

境内で縦横にとつながる参道の石條。中央の菱形の石が龍の背中を表している。

ほかにも龍の腹を表した蛇腹の屋根や、目に見立てた井戸など、境内全体で龍を描いています。

このような異国文化が全国へと波及し、日本に影響を与えた歴史的価値が認められ、大雄寶殿(だいおうほうでん)、天王殿(てんのうでん)、法堂の3つが重要文化財から国宝に格上げとなりました。

しかし法堂の屋根は日本風のこけら葺きをしています。

「様式は中国ですが、実際に建てたのは日本の大工たちです。江戸時代に創建されて大きな戦乱もなく、当時の建築技術を残していることも評価いただきました」

中国様式と日本の伝統的な建築技術の2つを融合させて、独自の様式を確立した萬福寺。国宝になりさらなる注目が集まります。

3.異国情緒漂う萬福寺の境内を散策

萬福寺の境内図の画像

❶国宝・大雄寶殿(だいおうほうでん)

釈迦如来坐像と十八羅漢像を安置。最も大きい「本堂」!

大雄寶殿の画像

境内の中心に位置する、最も大きな建造物で、ほかのお寺でいうところの本堂にあたります。上層正面には隠元禅師による「大雄寶殿」の字が掲げられており、入り口の天井は黄檗天井といわれる、垂木を蛇腹のように並べた様式です。

❷開梆(かいぱん)

開梆の画像

開梆とは食事や行事の時刻を叩き知らせる木製の魚のことです。魚は寝ているときも目をあけていることから不眠不休の修行僧の象徴で、口の玉は煩悩を表し、吐き出す手伝いのために叩いています。

❸国宝・天王殿(てんのうでん)

四天王、弥勒菩薩、韋駄天が集結する玄関

天王殿の画像

三門からまっすぐ進むと見えてくるのが天王殿です。この配置は中国式の禅宗寺院ではよく見られますが、日本では黄檗宗寺院のみです。正面には、中国で弥勒菩薩の化身とされる布袋像(下1)が鎮座し、裏面には韋駄天立像(下2)が大雄寶殿の釈迦如来坐像を見守るように安置されています。

中国で弥勒菩薩の化身とされる布袋像の画像

    1.布袋像

韋駄天立像

    2.韋駄天立像

❹国宝・法堂(はっとう)

宇治の山を背景に、厳かな空気が漂う説法の場

法堂の画像

境内の奥に位置する、禅寺で最も大切な建物である法堂。他の禅寺とは違い仏像を安置せず、須弥壇(しゅみだん)という本尊を安置する台のみを置いています。これは壇上で住職が説法を行なう場所であるためです。

❺重文・三門(さんもん)

脱・俗世の清浄な地へ

三門の画像

禅寺において三門とは、煩悩から解脱した空・無相・無願の3つの境地を意味し、門の向こうは脱俗世の清浄域に入ることを表します。隠元禅師の筆で「黄檗山」、「萬福寺」の額が掲げられています。

❻重文・総門(そうもん)

水辺最強の生き物が守る聖域の玄関

総門の画像

白亜の壁と中国門の牌楼(ばいろう)式がこの先にある異国情緒を感じさせるのが総門です。屋根の両側には摩加羅(マカラ)と呼ばれる想像上の生き物が置かれています。水辺最強の生き物とされ、聖域結界の象徴として祀られています。

萬福寺周辺地図の画像

黄檗宗大本山 萬福寺

【住所】京都府宇治市五ケ庄三番割34
【電話】0774-32-3900
【拝観時間】9:00〜17:00(受付は16:30まで)※朱印所は16:30、売店は16:00まで
【拝観料】大人500円、大学生・高校生500円、中・小学生300円
【HP】https://www.obakusan.or.jp/

4.まとめ

京都府宇治市、JR奈良線・京阪宇治線の黄檗駅から歩いてすぐのところにある黄檗宗・萬福寺において、大雄寶殿、天王殿、法堂の3つの建築物が国宝に指定されました。中国様式と日本の伝統的な建築技術を融合させた萬福寺の境内は、異国情緒が漂います。国宝になってさらに注目が集まる萬福寺を一度訪れてみてはいかがでしょうか。


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