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ほうじ茶の魅力とは?年間焙煎数1000以上のほうじ茶焙煎師が徹底解説
2024.11.01
ほうじ茶とは、茶葉を焙じて飲む日本茶の一種。茶葉を焙じているので、香りが高く人気の高いお茶です。さまざまなほうじ茶のイベントで活躍するほうじ茶焙煎師のKANATA HOJICHAさんにその魅力をお聞きしました。
目次
KANATA HOJICHAさん
焙烙でほうじ茶を自ら焙煎する。2018年よりイベントやワークショップ、ティースタンドなどでほうじ茶の魅力を発信する活動を行なう。新たなほうじ茶の味わいを日々探している。
【Instagram】@kanata_hojicha
1.ほうじ茶の魅力とは?
❶ほうじ茶ってどんなお茶?
豊かに広がる香ばしい癒しの香りと、やさしい味わいで人気のほうじ茶。煎茶などの葉や茎を高温で炒ったお茶です。炒ることで、苦みや渋みが少なくなり、口当たりはさっぱりしています。また、深みのあるこげ茶色も老若男女に親しまれている理由のひとつです。
❷ほうじ茶にはまり、焙煎師にまでなったKANATA HOJICHAさん
ほうじ茶をこよなく愛するのが、KANATA HOJICHAさん(以下:かなたさん)です。かなたさんの活動の中心はワークショップやSNSを通してほうじ茶の魅力を発信すること。また、焙烙で自ら焙煎したお茶をイベントで提供するクラフトほうじ茶の焙煎師でもあります。
かなたさんがほうじ茶に興味を持ったきっかけは偶然でした。
「人が好きで人と集まるイベントによく参加していました。元々クラフトビールが好きで、日本酒好きの友人と、お酒とチーズケーキを一緒に楽しむイベントを開催しました。アルコールが苦手な人もいるだろう、とチラシに小さく『紅茶もあります』と書いていたところ、『お茶を飲みにきました』という方がとても多くて驚きました」
イベントを続けていくなら、お茶についても知らないといけない、と思ったかなたさんは、ちょうど開催されていたお茶のイベントに向かいます。ほうじ茶を自ら焙じるワークショップに参加。そこでおいしいほうじ茶に出合えたのかと思いきや、全くの逆だというのです。
「黒くて焦げたようなにおいの茶葉になりました。あぁ失敗だなと思いました」とかなたさん。ところが、講師の方はかなたさんの焙じた茶葉を見て「2週間後に飲んでみて」と言ったとか。半信半疑で飲んでみると、強かった焙煎の煙が抜けて香ばしいほうじ茶の味わいに変化していたそうです。
「なんて面白いんだ! もっとほうじ茶のことが知りたい!」と感激したかなたさんは、イベントに積極的に参加するように。今では年間1000回以上自らお茶を焙煎するほど、ほうじ茶に魅了されていきました。
❸ほうじ茶の最大の魅力は、「場の空気まで変えてしまう香り」?
「ほうじ茶の魅力は、その香りで場の空気を変えられるところです。紅茶や煎茶ももちろん香りがよいですが、お湯を注いだ瞬間に周りの人にもわかるくらい香りが広がるのは、ほうじ茶ならではだと思います」とかなたさんは語ります。
例えば、忙しさからピリついた空気が漂う職場でほうじ茶を淹れると、その香りに張り詰めた空気が緩むのを感じると言います。「ほうじ茶の香りが嫌いだ」という人に、今まで出会ったことがないとかなたさん。ほうじ茶は万人を魅了する癒しの香りだということです。
「ほうじ茶の魅力は、その香りで場の空気を変えられるところです。紅茶や煎茶ももちろん香りがよいですが、お湯を注いだ瞬間に周りの人にもわかるくらい香りが広がるのは、ほうじ茶ならではだと思います」とかなたさんは語ります。
これまで数多くの種類のお茶を焙じてきたかなたさんがもっとも印象が残っているお茶は「静7132」という品種だといいます。新芽が赤く不思議な品種でこれまであまり注目を浴びず、名前がつけられることなく管理番号のまま今も呼ばれている珍しいお茶の品種です。初めて静7132を焙煎したときのことが忘れられないといいます。焙じた際にふわっと天然の桜の葉の香りがしたことに強い衝撃と喜びを感じました。
「お茶ってこんなに奥深いんだ!もっといろいろなお茶を焙じたい」と今の活動の原点になった出来事だと言います。
2.ほうじ茶はどうやってつくられる?
❶実はとても繊細!火加減が大事なほうじ茶
実際にかなたさんにほうじ茶ができるまでを見せてもらいました。かなたさんの焙煎道具は、カセットコンロと焙烙、赤外線センサー、ボウルです。
「お茶を焙じるときの火加減はとても重要です」とかなたさん。火加減を誤ると焦げの原因になります。
熱した焙烙に緑色の茶葉を入れると、かなたさんは焙烙から片時も目を離さず、手はずっと焙烙をふり続けます。
「火にかけているときは手を止めることはないです!」と力強く教えてくれました。茶葉を動かし続けないと焦げついてしまうのです。
次第にもくもくと煙があがり、香ばしいほうじ茶の香りが広がります。火から焙烙を外して、ボウルに茶葉を取り出し、2つのボウルを使ってさらさらと何度も移し替えます。茶葉の温度を下げ、余熱でお茶の焙煎がすすまないようにするのが目的。こうして、こげ茶色の親しみを感じるほうじ茶の完成です。
❷浅炒り、中炒り、深炒り。焙煎で変わる味
お茶の品種や茶種によって焙煎の強さを調整し、さまざまな味わいを生み出すこともできるといいます。
「ほうじ茶の焙煎の強弱に基準は決まっていません。元々、ほうじ茶は安価な茶葉を使ったお茶でした」
そのため、高価な一番茶を使ったほうじ茶は珍しく、一般的によく出回っているほうじ茶は二番茶、三番茶と安価な茶葉を材料とします。かなたさんが自分で焙じるときは、茶葉本来の品質だけでなく、品種や茶種の持つ特長をもっと引き出すために、焙煎の微細な違いを追求しています。
「同じ茶葉でも、浅炒り、中炒り、深炒りと炒りの強さが異なると見た目はもちろん、味わいも変わります。その違いを楽しんでほしいです」
緑色の残る浅炒りは爽やかで、深炒りは奥深い味わいに。魅力溢れるほうじ茶の違いを教えてくれました。
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3.こんなほうじ茶も!?意外な素材との組合せ
これまでに130種類以上のほうじ茶をつくってきたかなたさん。中には珍しい素材を組合せたブレンドほうじ茶もあります。茶葉の種類を複数ブレンドすることはもちろんですが、ももやいちごなどの果実やカモミールやパクチーなどのハーブを混ぜ合せてまったく新しいほうじ茶をつくります。変わり種のほうじ茶づくりのきっかけは、イベントで知り合った人たちからの「こんなほうじ茶を飲んでみたい」というリクエストを参考にしているのだと言います。最近はコーヒーとの組合せを試作中。なかなか難しいと教えてくれました。
「茶葉と素材を一緒に焙煎できることは、少量で焙煎できる焙烙ならではだと考えます。火に負けない素材は極力一緒に焙じて、香料は使用せずに素材の香りを活かしています」とかなたさん。
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4.まとめ
ほうじ茶とは、茶葉を炒ることで生まれる豊かな香りとやさしい味わいのお茶。ほうじ茶に魅了されたかなたさんは、「お湯を注いだ瞬間に周りの人にもわかるくらい香りが広がり、その場の空気を癒やしてしまう」というほど。「ワークショップを通してもっと多くの人にほうじ茶の魅力を伝えたい」と語るかなたさん。癒しの香りが人々を惹きつけるほうじ茶を、あなたもぜひ飲んでみてください。