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季節の変わり目に起こる体調の変化。不調の原因とセルフケア
2023.09.01
季節の変わり目はなんだかからだがだるくてしんどい、肩が凝る、偏頭痛に悩まされる、憂鬱……という人も多いのでは。
この時期の不快さを乗り越えるキーワードが“めぐり”です。自分で簡単にできるケアについて、看護師にアドバイスをいただきました。
目次
教えてくれる人 船越 かおりさん
1972年生まれ。10年以上のキャリアを持つ現役看護師。約4年前、京都市左京区に女性専用・完全予約制のリンパマッサージサロン「kaOn(カオン)」をオープン。 https://kaon.themedia.jp
1.季節の変わり目に体調が変わりやすい理由
季節の変わり目は、体調が崩れやすいといわれます。朝晩の寒暖差が激しく、気圧の変化も大きいため、これらが体調不良を引き起こすきっかけになるのです。この天候による体調の変化には、自律神経が関係しているといわれます。
自律神経には、昼間や活動時に活発になる「交感神経」と、夜間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」があります。この2つがバランスよく作用することで、体温や発汗の調整、血液の循環などがスムーズに行なわれ、私たちの健康が保たれています。
ところが、寒暖差が大きいと、体温や発汗を頻繁に調整しなければならないため、エネルギーを消耗してつかれやだるさが出てしまうのです。
また、気圧の変化も自律神経の働きに影響を及ぼすといわれています。「雨の日は気圧の関係で誰しも自律神経の乱れがあるのですが、とくに更年期の女性や、さらに年齢を重ねた世代は、この乱れにひときわ敏感になりがちなんです」と、船越かおりさんは話します。
2.自律神経の乱れとリンパの関係性
自律神経の乱れを改善するポイントとなるのが、リンパのめぐりだと船越さんは話します。
「私たちのからだの細胞の隅々まで酸素や栄養素を届けているのがリンパです。リンパがきちんと流れていると、自律神経が整い、からだがラクになります」
リンパとは、おおまかにいうと、血管に沿って全身をめぐる「リンパ管」、その中を流れる「リンパ液」、管のところどころにある「リンパ節」で成り立っています。
酸素や栄養素を体中に運ぶのは血液ですが、それは血管の中まで。一つひとつの細胞には、動脈の毛細血管からしみ出した血液成分の一部(主に血しょう)が組織液となって酸素や栄養素を届けるのです。
届け終えた組織液は、二酸化炭素とともに静脈の毛細血管から再び吸収され、血液として心臓に戻ります。このとき一部がリンパ管に入り、リンパ液となります。そして、リンパ節では細胞が放出した老廃物をろ過するほか、体外から侵入したウイルスをやっつける役割も果たします(図参照)。
このように重要な働きを持つリンパですが、血液のように心臓のポンプ機能がないため、流れが遅く滞りやすい特徴もあります。
「リンパは呼吸、筋肉の動き、隣接している血管の拍動につられて流れます。滞らせないためにご自身でできることはたくさんあります。からだが整えば、気持ちも軽やかになりますよ」
3.季節の変わり目を健康に過ごすセルフケア
リンパの流れをよくする生活習慣を4つお教えします。
その1:温かい飲み物やからだを温める食材を取り入れる
気温の変化だけでなく、冷房などによって、冷えに悩む方も増えていますが、冷えはリンパの流れの大敵です。血行が悪くなると、代謝も落ちてしまいます。冷たい飲み物、食べ物は極力控え、お茶などの飲み物はなるべく温かいもの、常温のものをいただきましょう。からだを温めるショウガ、シナモン、アズキといった食材を、積極的に取り入れるのもよいですね。
また、アルコールやコーヒーを大量に摂ると、脱水の原因になるので、気をつけてください。
その2:栄養バランスのとれた食事を摂る
食生活では、炭水化物、脂質、タンパク質の三大栄養素とビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることが大切です。基本的なことですが、偏っていては、細胞にしっかりと栄養素が届かず、リンパの滞りの原因にもなります。
その3:ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
入浴は、40〜41度ぐらいのぬるめのお湯で10分ほど、ゆったりと。血流をよくすることで、リンパのめぐりを整えます。一度にあまり長く浸かると、からだに負担がかかってストレスとなり、逆効果の可能性も。時間をかけて浸かりたい場合は、半身浴や足湯にしましょう。
「ちなみにお風呂上がりにバスタオルでからだを拭くときにも、手の先やつま先など末梢からからだの中心に向かって、軽くなでるように拭くといいですよ。リンパの流れを意識してみてくださいね」(船越さん)
その4:からだを冷やさない服装を心がける
からだを冷やさないのが肝心です。素足を避けて靴下を履くなどを心がけ、首回りや手首、足首は特に気をつけましょう。腹巻きもおすすめです。
4.リンパの流れをよくする簡単マッサージ
スムーズにリンパを流すためには、筋肉を動かすことがポイントになります。家事やデスクワークが一段落した合間の時間や、テレビを見ながらくつろいでいるときなどに、簡単にできる体操やマッサージなどを取り入れましょう。
耳マッサージ
季節の変わり目の不調に大きく関係しているのが内耳。「耳マッサージ」で内耳の血流がよくなると自律神経が整うので、不調の改善・予防が期待できます。さらに耳の下にはリンパ節があり、マッサージが一通り終わったときに、耳から鎖骨にかけてやさしく首をなで下ろすと顔のむくみ解消にもつながります。1日に3セットを行ないましょう。
耳の上をつまんで引っ張り、5秒キープ。横・下へもそれぞれ同様にする。
耳の横をつまみ、軽く引っ張りながら後ろへ3回ゆっくり回す。
親指と人差し指で上下から耳をたたむようにし、5秒キープ。
肩ほぐし深呼吸
「肩ほぐし深呼吸」のストレッチ体操では、脇のリンパをしっかりと刺激。肩甲骨がしっかりと動くので、呼吸が深くできるようになり、めぐりの促進に効果があります。両ひじがくっつかなくても、できるところまででOK。1日に3セットを行ないましょう。いずれも無理は禁物。「イタ気持ちいい」くらいの強さで。
真っすぐ姿勢よく立ち、肩に手を置く。
真っすぐ姿勢よく立ち、肩に手を置く。
外に向かってひじで大きな円を描くように回す。
1〜3を5回繰り返す(呼吸を止めないようにして行うこと)。
5.まとめ
看護師・船越かおりさんのお話、いかがだったでしょうか。ご自分の体調不良の原因など、心あたりはありましたか。
今回の記事を参考に、簡単セルフケアを試してみて、季節の変わり目でも体調を整え、健やかな毎日をお過ごしくださいね。