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新入社員必見! マナー講師が教えるコロナ禍に対応したお茶出しのマナー
2022.11.01
来客へのお茶出しを頼まれて、正しいマナーがわからず不安になったことはありませんか? コロナ禍に対応したお茶の出し方を、京都のマナー講師・野口えみ子さんに教えていただきました。
オフィスでの会議や自宅での来客時にお茶出しする流れやポイントを今一度おさらいしましょう。
目次
教えてくれる人
株式会社マナーコンシェル 野口えみ子さん
1.お茶出しでおもてなしするときの心得
会社や自宅に来客があったとき、お茶を出しておもてなしをするのが社会人としてのマナーですね。特にビジネスシーンでは、新入社員の方は会議でのお茶出しを頼まれることもあるでしょう。
でも、今のWITHコロナの時代に、どのようにお茶出しをすればよいのかと不安に思う方も多いのではないでしょうか。京都のマナー講師・野口えみ子さんによると、お茶出しでおもてなしをするときの心得として、次のポイントをまず押さえることが大切なのだそうです。
目の前でお茶を淹れる
お茶出しの際、オフィスでも自宅でも、給湯室やキッチンでお茶を淹れて出すことが多いでしょう。また、ごくたまに、お客様が来る時間に合せて事前にお茶を淹れておく方もいます。でも、野口さんが今の時代におすすめするのは、お客様の目の前でお茶を淹れるおもてなしです。
感染症への不安が拭えない時代だからこそ、「お客様が来られてから、目の前で丁寧に淹れたお茶をお出しすることで、お客様に安心感を与え、真心と歓迎の意が伝わると思っています」と野口さん。ただし、会議室や応接室でお茶を淹れるのが難しい場合には、給湯室やキッチンで淹れてもよいとのことです。
心遣いを押し付けない
お茶出しはおもてなしの気持ちの表れです。そのため、自分中心に見えてしまう行為や素振りは慎むべきだと野口さんは仰います。
「一番大切なことは『人それぞれ不愉快に思うポイントが違う』ということを理解すること。自分にとってはOKでも、相手にとってはNGなこともあると考え、『よろしければ……』『ご迷惑でなければ……』といった言葉遣いで、押し付けない心遣いを大切にしてください」
基本マナーにとらわれすぎない
場所や相手によって、おもてなしは変わるもの。それゆえに、臨機応変に対応することも大切です。そこで、野口さん流の「少しの心遣いで、相手も自分も気持ちよく過ごせる」おもてなしを紹介していただきました。
「たとえば、お茶はお客様の下座にあたる右側後方からお出しすることが基本ですが、場所によっては、右側からお出しできないときや、狭くて相手の後方に回れない場合もあります。その場合は、無理な体勢でお出しするよりは、左側や前方からお出しするほうが安全です。『こちらから失礼します』と一声かけてお出しすれば問題ありません。
また、状況によっては、ペットボトルを使うこともおすすめです。その場合は、飲みきれる小ぶりなサイズのペットボトルを選び、紙コップや紙コースターを添えましょう。『こんな時期ですのでペットボトルで失礼します』と一言添えれば、失礼ではありません」
考え方は人それぞれ。「あらゆる価値観を想定して、お茶のおもてなしをすることで、招く側も招かれる側も気持ちのよいお茶時間を過ごしましょう」と野口さんは仰います。
2.【オフィス編】お茶出しのマナー
必要なお茶道具と、入退室の立ち居振る舞いやお声がけのタイミングなど、オフィスならではのポイントを、流れに沿ってご説明します。
【オフィス編】お茶出しの事前準備
お客様の目の前で淹れられるよう、お盆にお茶出しに必要な道具をセットします。茶葉は急須に入れておきます。お湯はポットに入れて約80℃に設定し、事前に会議室(または応接室)にセットしておきましょう。
また、茶器はシンプルなものを選びましょう。お茶菓子は出さない場合が多いです。
〈準備するもの〉
湯呑
感染予防対策として蓋付きの湯呑がおすすめ。柄はお客様の正面に来るようにセットします。
急須
来客用にはできるだけきれいな急須を選び、あらかじめ、茶葉を入れておきましょう。
茶托
茶托は木目がお客様に対して横になるようにお出しします。木目の広いほうが正面です。
ふきん
お茶出しの最中、水滴などをサッとふけるように、清潔なふきんをセットしておきます。
【オフィス編】お茶出しの流れ
お茶道具をセットしたら、お盆を持って、お客様のもとへ向かいます。
❶ノックして入室する
お茶道具をセットしたお盆を片手に持ち、空いているほうの手で、中の人に聞こえるようにしっかりノックをします。
❷入ってすぐにご挨拶
ドアを開けたら、お盆を両手に持ち、体の正面からずらして、「失礼します」と言ってお辞儀をします。
❸下座にお盆を置く
サイドテーブルがある場合はその上に、ない場合は下座側(出入口側)のテーブルの端にお盆を置かせてもらいます。
❹ポットから急須にお湯を注ぐ
あらかじめ会議室(または応接室)に用意しておいたポットから、約80℃のお湯を、茶葉を入れた急須に注ぎましょう。蓋をして約1分待ちます。
❺お茶を注ぐ
お茶の種類にもよりますが、約1分を目安にお茶を蒸らしたら、湯呑の蓋を外して静かに注ぎます。お茶は最後の一滴まで注ぎましょう。
複数の湯呑に注ぐ場合は、少量ずつ廻し注ぎをします。お茶の濃さが均一になるように、最後の茶碗に注いだら折り返して注ぎましょう。
❻湯呑に蓋をする
お茶を注いだら、蓋をします。柄のある湯呑の場合は、蓋と湯呑の柄を合せることをお忘れなく。一方、お客様側が気をつけたいのが蓋の扱い。飲むときは、蓋を裏返して、机の上でグラグラしないように茶托に挟んでおきましょう。
蓋付きの湯呑がなく、紙コップで代用する場合などは「こんな時期ですので紙コップで失礼します」と一言お断りしましょう。
❼湯呑の底を拭く
水滴がついている場合があるので、湯呑の底を、きれいなふきんで拭いてから、茶托にセットします。
❽湯呑を持ってまわる
茶托ごと両手で持ち、相手の右側後方まで持ち運びます。
❾右側後方からお茶を出す
お茶を出す際は、右側後方から、「失礼します」「どうぞ」という言葉を添えて出すと、好印象です。
➓書類は避けて出す
書類が広がっている場合、勝手に触れてはいけません。お客様に書類を避けてもらい、空いたスペースに出します。
上座と下座とは?
一般的なマナーとして、席次には上座と下座があります。これは日本独特の文化で、自分が座る場所によって目上の人やお客様に敬意やおもてなしの気持ちを表すものです。
上座は、その場で一番心地よく安全に過ごせる場所、下座はその逆で、お客様をお迎えする側、役職が下の人が座る場所となります。基本的には、入口から遠い奥の席が上座、出入口に近い席が下座となります。
また、日本の伝統礼法の中では「左を上位、右を下位」というしきたりがあり、左側が上座・右側が下座ということも覚えておくとよいでしょう。
3.【自宅編】お茶出しのマナー
必要なお茶道具と、お茶出しの際の立ち居振る舞いや道具を出す順番など、自宅ならではのポイントを、流れに沿ってご説明します。
【自宅編】お茶出しの事前準備
お客様の目の前で淹れられるよう、お盆にお茶出しに必要な道具をセットします。茶葉は急須に入れておきます。お湯はポットに入れて約80℃に設定し、事前に応接室にセットしておきましょう。
〈準備するもの〉
おしぼり
おしぼりやアルコール除菌スプレーなどを一緒にお出しすると、より安心感を与えます。
湯呑
感染予防対策として蓋付きの湯呑がおすすめ。柄はお客様の正面に来るようにセットします。
急須
来客用にはできるだけきれいな急須を選び、あらかじめ、茶葉を入れておきましょう。
茶托
茶托は木目がお客様に対して横になるようにお出しします。木目の広いほうが正面です。
お茶菓子
お茶菓子を添える場合は、個包装のものを選び、菓子皿や懐紙にのせましょう。
ふきん
お茶出しの最中、水滴などをサッとふけるように、清潔なふきんをセットしておきます。
【自宅編】お茶出しの流れ
お茶道具をセットしたら、お盆を持って、お客様のもとへ向かいます。
❶下座でご挨拶
和室の場合は、入室したら、お客様の下座(右側)に座り、「ようこそお越しくださいました」と挨拶しましょう。
❷畳の上に一旦お盆を置く
テーブルが低い場合は、前かがみではなく、腰を落として作業したほうが美しい所作になります。
❸ポットから急須にお湯を注ぐ
あらかじめ応接室に用意しておいたポットから、約80℃のお湯を、茶葉を入れた急須に注ぎましょう。蓋をして約1分待ちます。
❹お茶を注ぐ
お茶の種類にもよりますが、約1分を目安にお茶を蒸らしたら、湯呑の蓋を外して静かに注ぎます。お茶は最後の一滴まで注ぎましょう。
複数の湯呑に注ぐ場合は、少量ずつ廻し注ぎをします。お茶の濃さが均一になるように、最後の茶碗に注いだら折り返して注ぎましょう。
❺湯呑に蓋をする
お茶を注いだら、蓋をします。柄のある湯呑の場合は、蓋と湯呑の柄を合せることをお忘れなく。一方、お客様側が気をつけたいのが蓋の扱い。飲むときは、蓋を裏返して、机の上でグラグラしないように茶托に挟んでおきましょう。
蓋付きの湯呑がなく、紙コップで代用する場合などは「こんな時期ですので紙コップで失礼します」と一言お断りしましょう。
❻最初にお菓子を出す
お客さまの右側後方から、お菓子やお茶を出しましょう。お客様から見て左になるようにお菓子を出します。
❼湯呑の底を拭く
水滴がついている場合があるので、湯呑の底を、きれいなふきんで拭いてから、茶托にセットします。
❽茶托にのせて湯呑を出す
茶托と湯呑の柄が相手の正面にくるようにし、お客様の右側から両手でそっとお茶を出しましょう。
❾おしぼりを出す
最後におしぼりを、お客様から見て右になるように出します。おしぼりは、端が見えないようにたたむときれいです。
➓お茶をすすめる
すべて出し終えたら、「お茶をどうぞ」と言っておすすめします。退席するときは、お盆の表を外側に向け、脇に抱え持ちます。
4.まとめ
お客様の目の前でお茶を淹れることで、安心感を与えつつも、淹れたてのおいしさを味わってもらえるお茶の出し方をご紹介しました。
コロナ禍の時代に対応したお茶出しの流れを身につけるとともに、「お茶出しはおもてなしの気持ちの表れである」ということも心に留めておきましょう。
今回ご紹介したお茶のおもてなしのマナーをぜひ参考にしてみてくださいね。