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チェアリングとは?実際に川原でお茶してみた

2023.05.01

その気持ちよさから最近注目を集める「チェアリング」。椅子を野外に運んで好きな場所に設置し、気ままに過ごすアクティビティです。今回、お茶を愛する若き茶人・三窪笑り子さんが、京都・嵐山でチェアリングならぬ茶(チャー)リングに挑戦しました!

三窪笑り子さんと嵐山

1.今、話題のアクティビティ「チェアリング」を知っていますか?

チェアリングとはどんなアクティビティなのでしょうか?

チェアリング

チェアリングとは

最近、にわかに注目が集まっている「チェアリング」。

アウトドア用の折りたたみ椅子ひとつを持って外に出て、好きな場所に置き、そこでお茶やお酒を飲んだり読書をしたり、気ままに過ごす行為を指します。

川原や公園で、自分が選んだ場所に椅子を置けば、そこがひとときのパーソナル空間となる喜び。ベンチなどの定められた場所ではないところに座るだけで、いつもの公園や川原が非日常の場所になります。お酒を飲まなくても、本を読んだり、ただただボ〜ッとしたり、時間の使い方も自分次第です。

チェアリングって何をするの?

「椅子を置いて、なにをすればいいの?」と思う人もいるかもしれません。答えは「なにをしてもいいのです」。リラックスしても、ぼんやりしてもよし。友達と語らっても、ペットとともにいても。読書やゲーム、空を眺める。なんでもいいのです。 そこに飲み物があると豊かな時間になるため、おすすめです。

もともとお酒好きの間で始まったチェアリングですが、お茶を飲むのも楽しいもの。お茶をいただくまでには淹れる、点てるといった楽しみがあります。 今回、お茶を愛するお茶人・三窪笑り子さんに、風光明媚な京都・嵐山の渡月橋が見える川原で自前の道具を持ち運んでいただきました。そして、アウトドア用の折りたたみ椅子とともにチェアリングに挑戦してもらいました。

お茶人の目に、チェアリングはどう映るのでしょうか?

2.お茶人・三窪笑り子さんがチェアリングに挑戦

お茶人・三窪笑り子さん

「以前から、思い立ったら“マイお茶セット”を持って、ひとりでも、友人とでもよく、鴨川べりに行って、お茶を楽しんでいます」と話す三窪さん。

煎茶や抹茶など、その時どきで、お茶の種類も気分に合せて選んでいるそう。旅先には、必ず、抹茶セットを持っていくのだとか。

「朝、ホテルで一服して、その後、公園や広場など気持ちのいい場所で野点(のだて)をするんです。その国、その土地ならではのお菓子を用意して、抹茶や現地のお茶とペアリングしてみたり、現地の人たちにも一服差し上げて、お茶の交流を楽しみます」

お茶セット

「茶道の世界にも野点と呼ばれる屋外で抹茶を点てる作法があります。自然とともにお茶をする行為は、お茶人の間で昔から楽しまれてきたのです。チェアリングならぬ“茶(チャー)リング”って素敵な言葉ですよね。お茶をゆっくり飲めば、そこが束の間、自分だけの場所になります。籠やトートバッグを使って、あれこれ工夫して、お気に入りの“マイお茶セット”を、自分の感性でつくるのもとても楽しいですよ」と三窪さん。

戸外に椅子を持ち出してお茶を楽しむ。すると、お茶を介して、思わぬコミュニケーションが生まれることが一番の喜びだと話します。

3.椅子に座ってまずは煎茶で一杯。爽やかな香気をゆるりと楽んで

煎茶用茶器と煎茶の画像

「チェアリング」ならぬ「茶(チャー)リング」は、椅子とお茶と簡単な道具さえあれば、アウトドアでもどこでも自分の空間をつくることができます。

今回三窪さんが用意したのは、小さめの保温の水筒。これだけあれば、煎茶も3煎、十分いただけます。茶器が割れないようにキルティングの袋などを活用するとよいでしょう。

「最初に急須と茶碗をお湯で温めて、茶葉が開くまで約1分間待ったら、丁寧に最後の1滴までお茶を注ぐようにしましょう。今回は、老舗和菓子店のお菓子を用意しましたが、マカロンやクッキーなど、洋菓子もよく合います」と三窪さん。

煎茶の場合は、茶殻が出るので、持ち帰るための水切りネットや小さいビニール袋を忍ばせておくと安心だそうです。アウトドアでお茶を楽しむ配慮ですね。

菓子皿に見立てたメガネレンズと台湾で見つけた茶器入れ

道具は、古伊万里の茶碗、木下和美作の急須、イギリスのアンティークショップで見つけたピルケースを菓子入れに、めがねレンズを菓子皿に見立てて。お菓子は、くるみと金柑にすり蜜をつけた「橙糖珠」(老松製)。茶器を入れている袋は、台湾のお茶屋さんで見つけた持ち運び用茶器入れを使っている。

4.お次は抹茶。手づくりのお菓子で心づくしの一服を

抹茶椀にお湯を注ぐと立てた抹茶

煎茶の次に楽しむお茶は抹茶です。

「小さめのポットにお湯を入れていけば、抹茶なら2〜4服、楽しむことができます。

木の抹茶椀は、erakkoさんという作家さんにオーダーしてつくってもらいました。漆を塗っているため、口当たりもよく、何より軽いので持ち運びにとても便利です」

三窪さんが使っている折りたたみの茶杓は、まさにチェアリングならぬ「茶(チャー)リング」にぴったり。抹茶に合せるお菓子はなんと自作で、すはまで小さなお団子をつくってきてくれました。

「お団子なら、串を持って気軽にいただけるので、屋外でお茶をするときにおすすめです」 キャンプやアウトドアでのお茶を楽しむときに、応用できる配慮ですね。

抹茶のお供・手作りのすはま団子と茶碗・茶入れ・茶杓

茶碗はerakko製の木の茶椀、台湾で見つけた茶葉入れを茶入に使っています。折畳茶杓(くのてるゆき作)は、茶(チャー)リングにぴったり。三島豆皿(生華窯造)には愛らしいお団子。すはまは、きなこと砂糖と水飴があれば、簡単に手づくりできるのでお試しを。

5.最後はチャイ!華やかな赤絵の茶碗で旅の思い出に浸る

ポットに入れたチャイと赤絵の茶碗に入れたチャイ

「お茶は現地で淹れてもいいですが、チャイなどは家でつくったものをポットに入れて持っていき、別の茶器に移し替えるだけでも、素敵な雰囲気になります」と三窪さんが次に楽しむのは、スパイス香るチャイ。華やかな香りが漂い、チェアリングに新たな趣を与えてくれます。

「今日は、チャイ用の茶葉にスパイスや花びらなどを加えたマサラチャイブレンドをチョイスしました。インドのお茶屋さんで見つけたものです。以前、南インドに行ったとき、マイお茶セットで、現地の人に抹茶を一服差し上げたんですが、お礼は一杯のチャイでした。思わぬお茶交流に、感動したことを覚えています」

茶碗は華やかな赤絵、菓子皿は極薄の三日月銘々皿(erakko製)を組み合せて。お菓子は、手軽に市販のチョコレートをペアリングしています。こういったしつらえで、チェアリングがより一層楽しくなります。

アウトドア用の折りたたみ椅子に腰掛けてチャイを飲みながら、旅の思い出を振り返る楽しいひとときが過ぎていきます。

三日月銘々皿と台湾で見つけた茶器入れ

茶碗は赤絵、菓子皿は抹茶椀と同じerakko製の三日月銘々皿。茶器を持ち運ぶ袋は、台湾で見つけたもの。チョコレートは市販のもので、小ぶりのものがおすすめ。赤絵の茶碗にたっぷりとチャイを注いでどうぞ。

6.はじめてのチェアリングを終えて……

お茶人・三窪笑り子さん

チェアリングで、煎茶、抹茶、チャイと3種のお茶の楽しみ方を教えてくださった三窪さん。

「折りたたみ椅子で、アウトドアで過ごす時間がこんなに豊かだなんて! 渡月橋を眺めながらお茶が飲めるなんてとっても贅沢ですね。今度は紅葉の季節にチェアリングしてみたいです!」ととても楽しんでいただけたご様子。

みなさんも、お手持ちの椅子や道具を持ち運んで、お庭や川原など太陽の下で気軽にお茶を楽しんでみてくださいね。


  

この記事で取り上げた商品

※5月から6月にご注文いただくと、新茶でのお届けとなります。