おいしいお茶の秘訣!湯冷ましを活用した淹れ方
2023.08.01
おいしいお茶を淹れる人は「温度」のコントロールが上手です。茶葉の種類に合わせた温度を選ぶことで、ぐっと味の幅が広がります。ちょっとしたコツをおさえれば、お茶がおいしくなる。おすすめの方法が「湯冷まし」です。
この記事では、湯冷ましを使っておいしいお茶を淹れる方法や、湯冷ましの代用品についてご紹介します。
目次
1.湯冷ましとは?
湯冷ましという言葉には、3つの意味があります。
湯冷ましの3つの意味
湯冷ましとは、❶いったん沸騰させたお湯(100℃)を冷ますために使う道具(湯冷まし器と表記することもあり)、❷湯を冷ます行為、❸冷ましたそのお湯そのものを指します。
ちなみに、哺乳瓶でミルクをつくるときは、「いったん沸騰した白湯を、人肌(36℃)程度まで冷ましたお湯」と限定して「湯冷まし」と呼ばれます。しかしお茶を淹れるときは、70℃程度のお湯でも「湯冷まし」と呼びます。
湯冷ましの役割とメリット
沸騰させたお湯を冷ますために使われる道具の「湯冷まし」は、おいしくお茶を淹れたいときにはぜひ使ってほしいアイテム。(湯冷ましがない場合は、湯呑でも代用可能です。くわしくは「3.湯冷ましはほかの器でも代用できる」をご覧ください)。
お湯を湯冷ましまたは湯呑に1回移しかえると、温度が約5~10℃下がるので、お湯の温度をコントロールするときに便利です。
なお、湯呑みを使って湯冷ましをすることには、別の意味もあります。それは「湯呑を温めておく」です。温まった湯呑に適温のお茶を移すことで、最終的に湯呑に注いだときに、理想的な温度になります。
2.湯冷ましを使ったおいしいお茶の淹れ方
一般的な煎茶なら70℃前後、玉露なら40℃前後などと、お茶を淹れるのに最適な温度があります。それを目安にしましょう。
沸騰させたお湯を湯冷ましにそそぐ
写真のように、一般的な湯冷ましは口が広く作られていて、水面が空気に触れる面積が大きく、お湯が冷めやすい構造になっています。一般的に、1回移しかえると、温度が約5~10℃下がるとされます。
複数の湯呑みに移し替えていきましょう。湯冷ましから1つめの湯呑へ、2つめの湯呑へ。複数の湯呑みに移し替えることで、お湯を望ましい温度に下げることができます。
また、気温が低い冬は、1回湯冷ましに移すだけでも著しく湯温が下がります。逆に気温が高いときは、湯温は下がりにくいもの。そんなときは冷ます時間を長めにとって、湯の温度を下げましょう。
淹れる季節やその日の気温によって、湯の冷め方は変化します。お茶を淹れる達人は、「湯冷ましをする時間もまたお茶を淹れる楽しみ」ととらえて、自分の手で湯冷ましに触れて、湯温の見当をつけるのが上手です。
約90℃に適したお茶
番茶、ほうじ茶、玄米茶、粉茶
約70℃に適したお茶
煎茶、深蒸し煎茶、茎茶、芽茶
約40~50℃に適したお茶
玉露、かぶせ茶
湯冷ましのお湯を急須に入れる
急須に移すときも約5~10℃、温度が下がりますから、そのぶんを計算して、やや高めの温度で急須にお湯を移しましょう。
具体的に、約70℃に適した煎茶を淹れるケースを想定してみましょう。100℃の熱湯を湯呑に移して10℃下がり(90℃になる)、湯冷ましに移して10℃下がり(80℃になる)、急須に移したときに10℃下がれば、70℃になる計算です。
蒸らしてからまわし注ぎする
急須に注いだあとは45秒から1分程度蒸らし、茶葉がゆっくり開くのを待ちます。
そのあとはいよいよ、急須から湯呑みにお茶を注ぎます。複数の人で飲む場合は、湯呑みに順番に注いでいきます。たとえば湯呑みが3つあるときは、Aの湯呑み→Bの湯呑み→Cの湯呑み→A→B→C→A→B→Cと3周まわし注ぐことで、均等な濃さを目指しましょう。
3つの湯呑みを1周で注ぎ終わらせてしまう(Aの湯呑み→Bの湯呑み→Cの湯呑み)と、注ぎはじめは薄く、後になるほど濃くなりがちです。なので、まわし注ぎをする必要があります。
最後の一滴まで丁寧に注ぎきる
最後の一滴は味が凝縮されていておいしいものです。急須の蓋が落ちないように手を添えて、最後まで注ぎきりましょう。お茶を淹れる達人は、蓋を指で抑えながら、急須を振るようにして最後の一滴を注ぎ切るのが上手です。
最後の一滴を「ゴールデンドロップ(黄金の一滴)」とも呼んで、価値ある一滴ととらえる人もいます。
なお、最後の一滴まで注ぎきるにはもうひとつ理由があります。それは水分が残っていると、二煎目を飲むときに茶葉が開いて渋みが出てしまい、味に影響が出るためです。二煎目以降を楽しみたい人は、しっかりと最後の一滴まで注ぎきる習慣をつけましょう。
3.湯冷ましはほかの器でも代用できる
「家に湯冷ましがないけれど、購入した方がいいのか?」、そんなふうに思う人もいるかもしれません。でも大丈夫、家にある別のもので代用可能です。
たとえば湯呑やお茶碗、マグカップ、計量カップ、蓋をあけた急須など……器の種類は問いません。代用する器を選ぶ目安は、蓋が開いていること。空気と接触する面積が大きければ大きいほど、湯が冷めやすい器です。清潔な器でありさえすれば、代用可能です。
4.おわりに
湯冷ましをつかったお茶の淹れ方について、ご紹介しました。 ペットボトルなど、手軽に日本茶を飲める時代にはなりましたが、急須でお茶を淹れると、おいしいだけでなく、楽しいことや嬉しいこともいっぱいです。湯冷ましを活用すれば、お茶はもっとおいしくなります。ぜひ、今日から急須でお茶生活を始めてみませんか?