簡単ですぐにできる防災備蓄!いつものお買い物に防災の視点を加えよう!
2024.09.01
いざというときのための防災備蓄、何から始めたらいいのかわからない。そんな方必見の、すぐにできる防災備蓄をご紹介します。ローリングストック法や災害用トイレの使い方、命を守るチェックリストまで。防災アドバイザーの南あきこさんに教えてもらいました。
目次
防災アドバイザー 南 あきこさん
1.お買い物に加えてほしい3つの視点。スーパーで防災備蓄しよう!
「防災は“専門品を買わないといけない”“なんだか難しそう”と思っていませんか?」と話す南あきこさん。関西を中心に防災教室を開催し、人の心を掴む話術で「おもしろ防災アドバイザー」として人気を博しています。
「私はよく道の駅に防災備蓄品を買いに行きます。道の駅って、長期保存できるものが多いでしょう? そして道の駅で売っているものは大抵おいしいし、防災の専門品より安い!」
買ったあと、すぐに食べずに置いておき、賞味期限が切れる前に食べる。そうすれば食べるときに旅の記憶も思い出すことができて一石三鳥にもなります。
ふだん買い物をしているスーパーや月刊『茶の間』でも防災備蓄品を揃えられると南さん。
「いつものお買い物のときに、少しだけ防災の視点で商品を選んでみるんです。“賞味期限が長いか”“常温保存できるか”そして“自分が好きな食べ物か”。最後の視点が一番大切で、自分が好きなら、お茶だってお菓子だって防災備蓄品と捉えていいんです」
今までと違った視点で防災を語る南さんですが、かつては、災害の危機感を伝える手法で防災の大切さを説いていました。あるとき、受講者の一人が恐怖のあまりパニック障害を起こしたことがきっかけで「脅かすだけでは防災の大切さが伝わらない」と思ったそうです。以来、まずは受講者が笑顔になる講座を心がけるようになったといいます。
「もちろん、防災は命に関わる大切なことです。だからこそ、本当に大切なのは、防災は意外と簡単にできるということを知り、続けること。チェックしてみたら意外と備蓄が揃っていることや、備えができていることはあるので、あとは足りない部分を補うだけ。だから、今日からでも始められます!」
2.集める、食べる、買い足す。ローリングストック法を実践しよう!
かつて防災備蓄品を買ったものの、放置して、買ったことすら忘れていませんか? それが「防災備蓄品は無駄」というイメージにつながると南さんはいいます。
「非常用のものはふだん手をつけないようにしていると、消費期限を切らして処分することになってしまいます。そんな無駄をなくすためには“ローリングストック法”がおすすめです」
上の図のように、ふだんから常温保存ができ半年くらいもつ食品を少し多めに買っておき、消費期限が近いものから消費していく。消費したら同じ量を買い足すというサイクルを回す(ローリングストック)ことで、日常生活の中で、非常用品を備えることができます。
「災害が起きたとき、ふだん食べ慣れていないものを食べようとしても、からだが受け付けないことがあるんです」と南さん。まずは“もしも”に備えて、自分が食べて安心する食べ物を集めましょう。食べて飲んでリラックスできるお茶やお菓子でOK。ストックして満足するのではなく、ちゃんと食べて、上の3つのサイクルを回していきましょう。
3.お茶やお菓子も防災備蓄品!災害時に不足しがちな栄養素に注目しよう!
最低限、災害時にリラックスできる食品を見つけられたら、次は栄養素に着目しましょう。
「一般的に備蓄品とされている食品や支援物資などは、糖分・塩分・油分が過多になりがちです。そこで自分にとって必要な栄養素は何かを考えてみてください。痩せ型の人、貧血がちな人、便秘がちな人など、体質によって違ってくると思います」
不足しがちな栄養素の代表は、ビタミン、ミネラル、そしてたんぱく質だといいます。
「たんぱく質を補給するなら、肉や魚、おでんがおすすめ。ビタミンやミネラルの補給なら青汁が最高ですね。ただ、青汁が苦手な人は無理しなくてOKです。たくさんの栄養素が含まれるお茶の葉や梅干もよいでしょう。そう考えると、実は月刊『茶の間』で揃えられるものばかりですよね」
南さんは、月刊『茶の間』でお買い物すること自体が防災備蓄につながると話します。カタログを読む際に、「防災の視点を入れて見ると、商品の見え方も違ってきませんか? 月刊『茶の間』にも防災備蓄のアイテムがいっぱい見つかりますよ! 楽しみながら見つけて、是非それを『あなたの備蓄』としてご準備くださいね」と南さんは話します。
また災害以外でも、自分や家族が病気になったり、急なトラブル対応、お留守番時など、備蓄品が活躍する場面は意外と多いもの。いざというときのために食べたい物の備蓄を心がけてくださいね。好きな食べ物だときっと楽しめるはずです。
4.命を守るチェックリスト。いざというときに必要なものをリュックにまとめよう!
「防災リュックには命を守るものから優先的に詰めていきましょう」と南さん。ただし、重くなりすぎると逃げるときに大変なので、要注意。一度必要なものを詰めたあと、実際に背負ってみて、重すぎる場合は、優先度の低いものから減らしていきましょう。
5.災害時には、トイレが死活問題に!災害用トイレに慣れておこう
「災害時に一番必要なものはなんでしょう?」と南さんが受講者に問いかけると、約八割の人が「水」と答えるそうです。
「確かに水も必要ですが、一番必要なものは実は“トイレ”なんです。いざというときに排泄物を出せないことは命に関わることもあります」
出したくても、心の準備ができていないために便秘や膀胱炎などのトラブルを引き起こしてしまう方も出てきます。場合によっては命に関わることも。ぜひ一度、下の使い方を参考に災害用トイレを使ってみてください。ホームセンター等で手に入る大きめのゴミ袋(黒色推奨)と凝固剤があればOK。ふだんから使い慣れておくことが、いざというときに自分を守ることにつながります。
6.まとめ
関西で防災アドバイザーとして活躍する南さんに、スーパーや通信販売などでのお買い物に加えてほしい3つの視点や日常から備えるローリングストック法を教えてもらいました。またお茶やお菓子も防災備蓄品になることや命を守るチェックリスト、災害時に一番必要な災害用トイレの大切さなど、簡単で今すぐにできることばかり。今や、地震だけでなく、台風や猛暑、火事など、いついかなるときにも災いは起こりうるものです。今こそ、おうちの防災備蓄を見直してみませんか?