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冬の体は梅干しで養生しよう。疲れた胃腸にやさしい低塩梅干しレシピ4選

2024.02.01

梅干し2種の写真

夏のイメージがある梅干し。実は冬の元気にも欠かせません。特に塩分10%以下の低塩梅干しは、栄養豊富でヘルシー。甘い梅干しと酸っぱい紫蘇梅、それぞれの味を活かした冬の梅料理を、京都で人気の料理家・山上公実さんに教えてもらいました。

教えてくれる人
山上公実(やまがみひろみ)さん

山上公実さんの写真

実家は京都の三条会商店街で鮮魚・乾物店を営む。土地に根づいた「食」に造詣が深い料理研究家。家庭料理教室や季節の仕込み事、講習会などを開催する「キッチンみのり」を主宰。おばんざいや薬膳の知恵をプラスした、飽きのこない味わいのレシピを提案している。

*国際薬膳学院 和学薬膳®博士
*日本漢方養生学協会 漢方薬膳スタイリスト
*調理師
[HP]http://kitchen-minori.com

1.冬の養生に梅干しがいい理由

私の家では食卓にはいつも自家製の梅干しがあって、小さい頃からよく食べていました。祖母がよくつくってくれたのが梅醤(うめしょう)番茶。お湯呑に梅干し1個、お醤油をほんの少し、生姜のすり下ろしを入れて、お番茶を注いだもので、元気でいたいときに今でもよく飲んでいます。

「梅はその日の難のがれ」ということわざがありますが、これは「朝、梅干しを食べておけば難を逃れられる」という意味です。実際、梅にはクエン酸、カリウム、マグネシウムなどが豊富に含まれていて、不足しがちなミネラルの補給や調子の維持に役立つなど、さまざまな働きが期待できます。

冬の養生としては、「一年がんばった体をいたわり、エネルギーを補充し、新たな春の始まりに備えるのがよい」といわれています。梅干しに含まれるクエン酸は、ミネラルの補給を効率的にしたり体内のサイクルを円滑にサポートしたりする働きが期待できるので、梅干しは冬場のエネルギー補充や、冬が苦手という人に向いている食品といえます。寒い季節に、梅干しを料理に使うのはとても理にかなっています。

2.低塩梅干しのおすすめの活用法

今回は、人気の低塩梅干しを毎日の食卓においしく取り入れていくアイデアをお教えします。通常、家庭で漬ける梅干しは塩分が約20%ほどになりますが、低塩タイプの梅干しは半分以下の塩分濃度になります。梅の風味はしっかりとあり、しょっぱさよりも、爽やかな酸味やまろやかな甘みを楽しむことができます。

❶塩分約6%の甘い梅干しの活用法

梅ザル盛りの写真

はちみつ梅干しなど、甘い梅干しは塩辛くないのでとても食べやすく、また塩分約6%など低塩タイプが多いので、梅肉をたっぷり使えるのがうれしいメリットです。クエン酸やミネラルなど梅の成分をしっかり体に摂り入れることができます。梅干しのフレッシュな風味をそのまま活かして、果肉たっぷりの和えごろもやドレッシングなどによく合います。またマフィンやクッキーの生地に練り込むと、甘じょっぱい梅の風味いっぱいの爽やかなお菓子ができます。塩分を控えている方にもおすすめです。

❷塩分約8%の酸っぱい梅干しの活用法

梅干し整列の写真

紫蘇梅など、酸っぱい梅干しも最近は塩分約8%などヘルシーな低塩タイプが多いので、ぜひ召し上がってみてください。南高梅の梅干しはふっくら肉厚、とてもジューシーで、梅干しらしい味わいがあります。また紫蘇をたっぷり使った梅干しはすっと爽やかな紫蘇の風味を楽しめます。昔ながらの酸っぱい梅干しは酸味や塩味、甘みのバランスがよく、しっかりとした味わいなので、煮物など火入れをする料理や濃厚なタレにぴったりです。

❸甘・酸、いろいろ応用編

甘い梅干しも酸っぱい梅干しも、和風の梅肉和えや梅煮のほか、梅のパスタや梅ディップ、梅ソースなど多彩なレシピ展開ができます。肉や魚を煮るときに梅干しを入れると臭みを消してくれます。甘いタイプ、酸っぱいタイプは、お好みでいろいろと使い分けてみてくださいね。

3.胃腸にやさしい冬の梅干しレシピ4選

年末年始などごちそうを食べる機会の多い冬には、さっぱりとした梅干しの滋養を取り入れましょう。それでは次から、爽やかでおいしい冬の梅レシピをご紹介します。

❶さっぱり爽やか鶏肉の梅から揚げ

鶏肉の梅から揚げの写真

鶏肉のから揚げに梅の風味をプラスして、ひと工夫。カラッと揚げたてに、甘い低塩梅とほんの少しの醤油を混ぜたタレをからめて、甘じょっぱい仕上がりに。梅の爽やかさが加わって、いつものから揚げがさっぱりと食べやすくなります。揚げ物が苦手な方にもおすすめです。

■材料(2人分)

  • 鶏モモ肉………………1枚(300g)

[A]

  • 醤油……………………大さじ1
  • 酒………………………大さじ1
  • 生姜のしぼり汁………小さじ1
  • 揚げ油…………………適量
  • 白炒りごま……………小さじ1
  • 片栗粉…………………適量
  • 甘い低塩梅干し………4個
  • 醤油……………………小さじ1

■つくり方

  1. 鶏モモ肉は、食べやすい大きさに切ってボウルに入れ、Aをもみ込み、15分ほど漬け込む。
  2. 梅干しは種を取り、包丁で果肉をたたいてペースト状にし、別のボウルに入れて醤油と合せ、梅ダレをつくる。
  3. の汁気を切り、片栗粉をまぶす。170~180度の油でカラッとするまで揚げる。
  4. 揚げたての鶏モモ肉をのボウルに入れ、梅ダレを全体にからめる。
  5. 器に盛り、白炒りごまをふりかける。

唐揚げとボウルの写真

梅ダレを用意しておいて、揚げたての鶏モモ肉にさっとからめる。

❷滋味豊かなかぶとタラの梅スープ

かぶとタラの梅スープの写真

胃腸にやさしいかぶとタラのあっさりとしたスープに、低塩梅の果肉を調味料として活かしてみました。しみじみとした滋味深い素材の味わいに、低塩梅の爽やかな香気が加わって、いくらでもお代わりしたくなるスープです。熱々をたっぷりといただいて、お腹の中から温まってください。

■材料(2~3人分)

  • かぶ…………………………小2個
  • タラ…………………………2切れ
  • 生姜(スライス)…………1枚
  • 甘い低塩梅干し……………2個
  • しめじ………………………50g
  • 醤油…………………………小さじ1
  • 水……………………………3カップ
  • 酒……………………………大さじ1
  • 塩……………………………適量
  • せり(長さ2センチに切る)…少々

■つくり方

  1. かぶは6つ割にする(皮が硬ければむく)。タラは一切れを3~4等分に切る。
  2. 梅干しは種を取り、果肉を3~4等分にちぎる。しめじは石づきを取ってほぐす。
  3. 鍋に水、酒、生姜、かぶを入れて強火にかけ、煮立ったら火を弱め5分ほど煮る。かぶが柔らかくなったら、タラ、梅干し、しめじを加える。
  4. タラに火が通ったら醤油を加え、味を見て塩で味を整える。
  5. 器に盛り、せりをあしらう。

梅干しをちぎる写真

梅干しは果肉を手でちぎって加える。

❸梅ごまだれで食べる豚肉とひらひら野菜鍋

豚肉とひらひら野菜鍋の写真

野菜をピーラーで極薄のリボン状にして、薄切りの豚肉と一緒にしゃぶしゃぶにします。酸っぱい低塩梅に白炒りごまを加えた香ばしい梅ごまだれをつければ、爽やかな香りで食が進みます。冬に不足しがちなビタミンやミネラル類をしっかり摂れて、火が通りやすく、見た目も楽しい鍋料理です。

■材料(2人分)

  • 豚薄切り肉(しゃぶしゃぶ用)…300g
  • 大根…………………………………1/4本
  • にんじん……………………………1本
  • ごぼう………………………………1/4本
  • ねぎ…………………………………1本
  • 水菜…………………………………1/2わ
  • 舞茸…………………………………1パック
  • 昆布(15センチ角)………………1枚
  • 水……………………………………6カップ

[梅ごまだれ(つくりやすい分量)]

  • 酸っぱい低塩梅干し………………4個
  • 酒、みりん…………………………各大さじ2
  • 醤油…………………………………大さじ1
  • 白炒りごま…………………………大さじ1

■つくり方

  1. 大根、にんじん、ごぼうはピーラーで薄切りにする。ごぼうは変色防止のため、酢水(分量外)に浸ける。ねぎは斜め薄切りにし、水菜はざく切りにする。舞茸はほぐしておく。
  2. 梅ごまだれをつくる。梅干しは種を取り、包丁で果肉をたたいてペースト状にする。酒とみりんを小鍋に入れて火にかけ、アルコールを飛ばす。火を止め、梅肉、醤油、白炒りごまを加えてよく混ぜ合せる。
  3. 鍋に水と昆布を入れて煮立たせ、の具材と豚肉を入れ、火が通ったら梅ごまだれをつけていただく。

※梅ごまだれは保存も効くので、ある程度つくって常備しておきましょう。さっとゆでた薄切りれんこんや青菜、もやし、きゅうり、タコなどと和えてもおいしいです。

❹あっさりと風味豊かなサバの梅煮

サバの梅煮の写真

いつもの煮魚に低塩梅を加えることで、魚の臭みが取れて、あと味もさっぱりとした味わいになります。梅干しを入れる分、塩分を控えめにしてちょうどよい塩梅に。梅のクエン酸がカルシウムの働きを助けるので、おいしくてとてもヘルシーな一品です。梅はブリ大根などにも合います。

■材料(2~3人分)

  • サバ………………………2切れ
  • 酒…………………………大さじ1/2
  • 塩…………………………少々
  • 青ねぎ……………………1本
  • 生姜………………………1かけ
  • 酸っぱい低塩梅干し……2個

[A]

  • 酒…………………………大さじ2
  • 醤油………………………大さじ1
  • みりん……………………大さじ2
  • 水…………………………1カップ

■つくり方

  1. サバは皮目に十字の切り込みを入れ、酒と塩をふって少し置き水気を取る。青ねぎは3センチの斜め切りにし、生姜は皮付きのまま薄切りにする。
  2. 梅干しは種を取り、果肉を小さくちぎる。
  3. フライパンにAと生姜を入れて煮立たせる。
  4. サバを皮目を上にして並べ、梅干しをちらし、落とし蓋をして、煮汁をかけながら中火で7~8分煮る。青ねぎを加え、さらに2分ほど煮る。
  5. 器にサバと青ねぎを盛り、煮汁をかける。

落とし蓋の写真

落とし蓋はクッキングシートをカットして使ってもOK。

4.まとめ

胃腸にやさしく、栄養がたっぷり豊富で、さっぱりとしておいしい梅干しは、そのまま食べるのももちろんいいですが、お料理に活用すると優れた調味料にもなります。

京都のおばんざいや薬膳に精通している山上さんのお料理は、どれも旬の素材を活かした、からだにうれしいものばかり。難しい工程はなく、簡単にできるのも魅力です。ぜひ、さまざまな方法で梅干しを料理に取り入れて、寒い季節も健やかに過ごしてくださいね。


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