大人の女性こそひな祭りを♪ひな人形コレクターのアイデア満載の楽しみ方
2024.02.01
ひな祭りは子どもたちの為のものだと思っていませんか? もとは女性の厄除けや健康祈願の意味があり、大人こそ祝ってほしいもの。かわいいひな人形の魅力にはまり、400組のひな人形を集めた、京都在住の黒田浩子さんに、大人のためのひな祭りの楽しみ方を教えていただきました。
目次
教えてくれた人 黒田 浩子 さん
1946年生まれ。京都市在住。服飾デザイナーとして活躍したのち、特別養護老人ホームでケアマネジャーに従事。自宅には45年間にわたり収集した約400組のひな人形が保管されている。特別養護老人ホームなどの各施設や自宅で、コレクションを披露する『小さな雛展』を開催。訪れる人々にひな人形の魅力を紹介しながら、交流の輪を広げる活動に尽力している。
1.そもそも「ひな祭り」って?桃の節句の由来
ひな祭りの由来は、中国で行なわれていた五節句のひとつ「上巳(じょうし)の節句」だといわれています。
この日は古代中国では忌日(いみび)とされ、その穢れを祓うため水辺で体を清め、厄払いが行なわれていました。それが日本に伝わり、紙などでつくった人形に穢れを移し、川に流して邪気払いをする行事へと変化していきます。
人形を流して邪気払いをするこの風習が、ひな祭りの行事である「流し雛」のルーツであるといわれています。そして、時代とともに人形作りの技術が発展し、立派な人形がつくられるようになると、川に流すのではなく飾る習慣へと変化していきました。これがひな人形となり、貴族の中で流行っていたおままごと遊び「ひいな遊び」と合さり、ひな祭りの形ができあがりました。
江戸時代には幕府が公的な行事として五節句を定めます。そのときに「人形は女性のもの」ということで3月3日はひな祭りという女性の行事になり、初節句を華やかに祝う習慣と相まって庶民にも広まっていきました。
2.大人のためのひな祭り。今年はひな人形を飾ろう
もとはひな祭りはすべての女性のためのもの。いくつになっても、自身の幸せや健康を願って、おひな様とともにお祝いしませんか?
そして、ひな祭りとは切っても切れない、ひな人形は、見ているだけで幸せな気持ちになります。お気に入りのひな人形を飾って自分を労るきっかけにしてみてはいかがでしょうか。本格的な人形だけでなく、ちょっとしたアイデアですてきなひな祭りを楽しむことができますよ。
3.400組のひな人形を所有!ひな人形コレクター・黒田浩子さん
ひな人形に魅入られた黒田浩子さん。ひな人形を集めはじめたきっかけや、その魅力をお聞きしました。
❶行事の「伝統」を楽しみながらつないでいく
「娘が生まれたときに、叔母が一刀彫のひな人形を贈ってくれたんですが、そのときは『ああ、いいものだな』と思ったくらいでした。私がひな人形を集めだしたきっかけは、たまたま通りかかった百貨店のエントランスに飾られていたおひな様。それを見た瞬間に“ビビッ”ときたんです」
そこには、昔ながらの伝統的な段飾りではなく、大小さまざまの現代的な創作ひな人形のお殿様とお姫様が並んでいました。それを目にしたとき「おひな様って、なんて自由でかわいいんだ!」と常識をくつがえされる衝撃を受けた黒田さん。そのときから、格式高いものではない、創作ひな人形に魅了されていったと振り返ります。
「ひな人形には人の優しい心がこもっています。ひな人形の前では、みんな自然と笑顔になり、人と人との間に交流が生まれ、その輪が広がっていくんです。だからこそ、ひな人形を飾るという伝統を次の世代につないでいくことが大切だと感じます」
黒田さんは、格式にとらわれすぎないことが、伝統を守り続けていくコツだと考えます。
「住宅事情もあります。ひな段や形式にこだわって『伝統的なひな人形じゃないから、もう飾るのをやめた』ではもったいない。まずは自分の心で選んだひな人形を、お部屋のどこかに飾ってみませんか。きっとそこから笑顔が生まれ、交流が広がっていくはずです」
日常の中で、楽しみながら伝統を守っていく。それが大人にとってのひな祭りなのだと、黒田さんは教えてくれました。
❷自由でかわいい!マンション住まいでもひな人形を飾る暮らし
黒田さんは、創作ひな人形の魅力をこうも語ります。
「マンション住まいでは、伝統的な段飾りなんて置けません。でも、お殿様とお姫様、この二体のペアのおひな様なら、お部屋のどこにでも気軽に飾れますよね」
娘のためにではなく、自分のために飾る。黒田さんは、そんなおひな様の楽しさに気づいたのです。感性に響く人形を集め始めるまでに、時間はかかりませんでした。
コレクション魂に火がついた黒田さんは、一気にひな人形の虜になっていきます。北は東北の山形県から南は九州の大分県日田市まで、ひな人形の匠の技と心を求め、日本各地を巡りました。
「雑誌や友達から情報を仕入れては旅をしました。部屋にはひな人形がどんどん増えていき、一年中ひな祭りのようになっていきましたね」
その頃から、街で買い物をしているときなどに見かけた、身の回りにあるものが仲睦まじいペアに見えるようになっていったと黒田さんは言います。
「例えば香水瓶も、私の目にはお殿様とお姫様に映る『一対』があるんです。お菓子の箱や、お香入れでも同じです。もとは別々のものであっても、2つ並んだときに男びなと女びなに見えたら、それは私にとっておひな様なんです」
独自の感覚と審美眼で「自分だけのひな人形」を見出すこと自体が楽しくなった黒田さん。収集にいっそう拍車がかかっていきました。
そうして長年集めたひな人形はおよそ400組。その魅力を、黒田さんはこう話します。
「私はひな人形の眼を見ます。素朴に仕立てられた眼にも命が宿っていて、こちらを優しく見つめている。それがとても愛おしいんです。眼と眼が合った瞬間を大切にしていますね。中には眼が描かれていないひな人形もありますが、その場合は全体の雰囲気から、あたたかい眼差しを感じられますね」
【黒田さんのひな祭りを楽しむアイデア】
◎格式にとらわれすぎない
◎お部屋のどこでも飾っていい
◎お殿様とお姫様の2体だけでもいい
◎身の回りにあるものをおひな様にみたてるのもOK
4.黒田さんのとっておき、ひな人形コレクション12選
黒田さんご自慢のコレクションをご覧ください!素材も形も大きさもさまざまですが、見ているだけで楽しくなってきます!みなさんも好きなように飾ってみませんか?
❶ビーズ
❷ひょうたん
❸犬
❹箸置き
❺木像
❻ピアス
❼ガラス
❽お手製
❾蓮の花
❿お香入れ
⓫張り子
⓬うさぎ
5.まとめ
独自の視点で、ひな祭りを楽しむ黒田さんの姿に、ひな祭りはもっと自由でいいのだと気づかされます。子どもたちへのお祝いはもちろん、大人の女性も厄除けや健康祈願を込めて、今年はひな祭りをお祝いしてみませんか。かわいくておしゃれなひな人形で、笑顔があふれる一日になるはずです。