【なぜ?】冬至に欠かせない柚子は万能食材だった!歴史や効果を徹底解説
2023.11.01
12月、冬至の頃になるとスーパーでよく柚子を見かけますよね。季節の風物詩・冬至のゆず湯はもちろん、料理や化粧品などにも使われ、日本人にとってなじみ深い柚子。その歴史や柚子風呂の由来、効果を知っていますか?香りや味など、奥深い柚子について、徹底的に解説します!
目次
1.12月22日は冬至!ゆず湯に入る理由って?
冬至とは、一年で最も日照時間が短くなる日のことです。この頃になると、夕暮れが早くなると感じることはないでしょうか。日本では古くから、冬至にゆず湯に入る習慣があります。柚子の爽やかな香りに癒やされたという方も多いでしょう。2023年の冬至は12月22日。改めて、冬至やゆず湯についておさらいしましょう。
冬至とは?いつ?柚子の意味は?
冬至は二十四節気の一つ。「冬に至る」と書く通り、本格的に寒くなる時期です。実際には約15日間ありますが、ゆず湯に入るなどの行事の「冬至」は、冬至に入る最初の日を指します。二十四節気は太陽の動きに合せて一年を24等分するため、毎年22日前後と、冬至の日付は毎年固定ではありません。なお、2023年の冬至は12月22日です。
では、なぜ柚子なのでしょう。それは、かつての運気の考え方や風習に由来します。冬至を折り返しとして日が伸びることから、中国や日本では冬至を境に太陽の力が強くなり、運気が上昇していくと考えられてきました。そこで、境目となる大事な日に身を清め、強い香りで邪気を払うために、冬至の頃に旬を迎える柚子を入れた風呂に入り、無病息災を願うようになったといいます。
また、冬至=湯治(とうじ)、柚子=融通(ゆうずう)の語呂合せから、「冬至(湯治)にゆず湯に入れば融通が利いて万事うまくいく」として、江戸時代にゆず湯が流行ったともいわれています。
ゆず湯はいいこと尽くしだった!
冬至に入るゆず湯はいいこと尽くしなのをご存知でしょうか。
柚子には多くの栄養が含まれています。特に、柚子の皮に含まれる香り成分・リモネンにはリラックス効果があります。その香りはアロマテラピーにも使われるほど。また、からだをポカポカにあたためてくれます。さらに、皮にはビタミンCもたっぷり。
寒く乾燥しがちな冬にゆず湯は最適なのです。最近では手軽に入れるゆず成分配合の入浴剤も人気です。ぜひ、ゆっくり浸かって心もからだも癒やされてください。
2.渡来して1300年!日本人と柚子の長い歴史
日本人の生活に深く関わっている柚子には長い歴史があります。日本と柚子の歴史や、日本以外の国と柚子との関わりをご紹介します。
原産地は中国!日本の発祥は京都かも!?
柚子の原産地は中国。揚子江(ようすこう)上流や雲南省などに分布し、飛鳥時代もしくは奈良時代に日本に伝わったとされています。
日本のどの地に伝来したのかは正確に特定できていませんが、その有力地の一つが京都です。飛鳥〜奈良時代、たびたび日本と唐を行き来していた遣唐使が柚子を持ち帰り、朝廷のある平城京や平安京を中心に、まずは関西で根付いたのではないかといわれています。
現在、日本の柚子の主な産地は四国です。特に高知県や徳島県で盛んに栽培されています。柚子の特長である爽やかな香りと風味が日本人に好まれ、今では生活に身近な柑橘類として親しまれています。
フランスでも大注目のYUZU!
柚子に関わりがあるのは日本や中国だけではありません。
江戸時代末、日本にオランダ医学を伝えた医師として有名なシーボルトが柚子とも深いつながりがあるのをご存知でしょうか。シーボルトは植物学にも造詣が深く、日本で1,400種にもおよぶ植物に命名をしています。柚子もその一つとする説もあり、学名は「Citrus junos」と表記されます。
また、世界的に見ると、近年までの柚子の主要生産国は日本と韓国でした。しかし、2000年頃から欧米やアジアの諸地域でも知られるようになりました。「東洋のレモン」と称され、注目が集まっています。フランスでは“YUZU”が辞書に追加されたほど、世界でも広く親しまれつつあるのです。
3.捨てるところなし!果肉や種もおいしい万能食材だった
柚子は、食材として使われるだけではありません。果肉や果汁はもちろん、皮やワタ、種にいたるまで、料理のみならず香水や化粧品などにも使われる、捨てるところがない万能食材なのです!
柚子のそれぞれの部分の特長や活用方法をご説明します。
【皮】ビタミンCたっぷりでいい香り!
皮には、香りの主成分・リモネンが豊富です。また、ビタミンCも多く、その爽やかな香りに癒やされる人も多いでしょう。実際、果皮100gあたりにビタミンCが200〜250mgも含まれます。
日本アロマ環境協会による日本人の好む和精油のアンケートでは、柚子の香りが圧倒的1位でした。
柚子の皮にハリがあるうちはビタミンCなどの栄養素の減少も少ないので、鮮度をよくして栄養素を保つとよいでしょう。
【ワタ】ダイエットが気になる人注目
柚子のワタには、へスペリジン、ナリンギン、オーラプテンという栄養が多く含まれています。ダイエットが気になる人の注目を集めている成分です。皮と果肉の間にあるふわふわした白い部分がワタです。ついつい捨ててしまいそうですが、ジャムやマーマレードにするとワタも無駄なく使うことができます。
【種】ペクチンは保湿力が高い!
柚子は種にも注目です。柚子はほかの柑橘類に比べ、種が多いのが特徴。種に豊富に含まれるペクチンは保湿力が高いので、水で浸出し、化粧水などに利用されることも多くあります。また、種子油の研究が進んでおり、化粧品やアロマオイルなどにも使われています。
【果肉・果汁】料理やジャムにおすすめ
果肉・果汁はクエン酸などを含み、特に果汁は食酢などによく利用されています。ほかの食材と和えてもおいしいので、日本各地で柚子の果汁と味噌を混ぜた柚子味噌が多くつくられています。
また、柚子は酸味が強く、果実にはペクチンが豊富に含まれています。加工も簡単なので、ジャムやマーマレードをつくるのにぴったりです。
4.黄色だけじゃない?種なしもある?柚子新情報
最近の研究では柚子の健康性にも注目が集まるなど、知れば知るほど、柚子のパワーに驚くばかりです。身近にあるものだからこそ、実は気づいていなかった柚子の魅力をご紹介します。
黄柚子と青柚子の違いって?
黄色のイメージの強い柚子ですが、緑色をした「青柚子」があるのをご存知でしょうか。10月上旬頃、果皮がまだ青いうちに収穫されたものが青柚子で、10月下旬になり黄色かかってから収穫されたものが黄柚子なのです。青柚子は黄柚子に比べ香りや酸味が強く、薬味や調味料によく使われます。
種なし柚子は料理に最適!
「柚子」とひと言でいっても、早生系、少とげ系、香気の高い多果汁系など、さまざまな系統があります。その中には種のない無核柚子もあるのを知っていますか。種がある有核柚子よりも一回り小さく、80〜100g程度の大きさの扁平果(へんぺいか)です。種がなく料理に使いやすいと、人気を集めています。
5.まとめ
冬の風物詩・柚子。無病息災の願いを込めて入る冬至のゆず湯には柚子の成分がたっぷりでいいこと尽くし。日本人になじみの深い柚子には長い歴史があり、近年ではフランスをはじめとして欧米やアジア諸国でも注目を集めています。
また、柚子は皮から種まで栄養満点で、料理だけでなく化粧品などにも使われる万能食材なのです。ぜひ、冬至の日にはゆっくりゆず湯に浸かりながら、からだをあたためてリラックスしてくださいね。