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京都の行事と楽しむ和菓子|あんこライター激推しの冬のお菓子3選

2023.10.01

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三種の和菓子の画像

日本の和菓子文化の中心地の一つ・京都には、多くの老舗和菓子店が軒を連ね、暦や行事など、その季節を写す和菓子がお店に並びます。そんな京都で年末、お正月、早春に京都人によく食べられているお菓子をご存知でしょうか?

あんこをこよなく愛し、関西を中心にTV出演・執筆などで“あんこライター”として活躍する、かがたにのりこさんのエッセイでご紹介します。

かがたにのりこさんの画像

かがたにのりこ/石川県金沢市出身のあんこ熱愛ライター。和菓子と加賀棒茶に囲まれて育ち、大学進学を機に京都へ。京都のあらゆる和菓子に心を躍らせながら、さまざまな媒体やイベントであんこの魅力を発信している。

1.<12月>年末に食べたいお善哉

お善哉のイラストの画像

小豆とお餅が入った「お善哉」。寒さの厳しくなる年末の季節にほっと温まるおいしさです。ひとえに「お善哉」といっても、お餅の形やあんの形状、味わいなど、地域によってさまざまです。

かがたにさんにそんなお善哉の小豆についてお聞きしました。

小豆にも旬がある!新物の縁起

あずきの画像

日本には「新」や「初」の付くものがよろこばれる初物文化があります。お馴染みの「新茶」に「新米」、そして「初鰹」。もちろん、我が愛しの小豆にも新豆の季節があり、丹波大納言などはまさに歳晩(年末)の今がそのとき。店頭では、いつもの棚にいつものパッケージで並んでいますが、いつもと違うのは「新物」と書かれた小さなシール。ささやかな自己主張にウフフとなります。

新物の小豆を手に入れたならば、善哉をつくるに限ります。昨年以前に穫れた「ひね豆」に比べるとやや水分量が多いため、茹で時間は少し短めでもふっくら。上手に炊けた新豆のおいしさは格別です!

善哉は「ご馳走」に由来する2つのこと

炊いたあずきの画像

善哉の由来は大きく2つ。1つは全国から神様が集まる出雲地方の神在祭で振る舞われる神在餅の“じんざい”が訛って“ぜんざい”と伝わったとの説。もう1つは、とんちで有名な一休さんこと一休禅師が大徳寺の住職からお餅の入った小豆汁をご馳走になり、そのおいしさに「善哉此汁(よきかなこのしる)」と言ったのが始まりとされています。音と文字、どちらの由来も興味深く、舌と耳と目で広まっていったご馳走といえますね。

何かと慌ただしい師走に突入。そんなときにはつくり置きのあんこや市販のあんこを水でのばして手軽につくることができるのも、善哉の「よきかな〜」なポイント。仕上がりイメージより水の量は多めに! 鍋の中が温まってもすぐには火を止めず、弱火でさらに十分間コトコト。これだけで、豆から炊いたように汁気と小豆の一体感がググッと増しておいしくなるので、ぜひお試しあれ。

2.<1月>新年を寿ぐ花びら餅のインパクト

花びら餅のイラストの画像

京都ではお正月にだけ食べる「花びら餅」。京都の伝統的な和菓子のひとつで、京都のお雑煮に見立てたごぼうと甘い白餡をお餅で包んでいます。なぜお正月に食べるのか、かがたにさんの思い出とともに教えてもらいました。

和菓子にごぼう!?実はおいしい!

ごぼうの画像

白くすべすべとした半月型のお餅に、ほんのりと薄紅色が透ける雅な和菓子。花びら餅との出合いは、大学時代に京都に暮らすようになってから。1月、デパ地下で次々と家族分を購入していく行列を真似て、よくわからないまま買ったのでした。

餅の両端からは薄グレーの棒状のものが顔を出している。和菓子に、ごぼう。初対面の私の頭には何故君がここに……? という疑問符がびっしり。行儀が悪いとは思いつつ、白餅をめくって中を覗いてみますと、ピンク色をした菱形の餅と白味噌あん。

一緒に横たわっているのは、やはりごぼうで間違いなさそう。再び餅をたたみ、えいっと齧り付く。甘じょっぱい白味噌。ほんのり野趣の残る香り。思いの外、やわらかいごぼうの食感。一気に押し寄せる情報量に驚き、慌てていつものお茶をごくり。お茶の温かさにほっと落ち着きを取り戻してから食べた二口目のおいしいことといったら……!

茶道の初釜にはかかせない!その由来

抹茶の画像

明治の頃より年初めの茶事、特に裏千家の初釜(年初めに行なわれる茶事、茶会のこと)で登場する花びら餅。さらに由来を辿ると、平安時代の宮中の新年行事「歯固めの儀式」にありました。このときの食べ物を模して、和菓子へと簡略化したものだそうな。その簡略化の過程で気になったのが、ごぼうは鮎の代わりだという飛躍具合。

昔のごぼうはもっと固いままだったのか。謎は深まりますが、今年も温かいお茶を用意して、この謎に包まれた、いや、謎がはみ出したお菓子をいただこうと思います。

3.<2月>春待ち遠しい季節のいちご大福

苺大福のイラストの画像

いちごと餡をお餅に包んだ「いちご大福」。春待ち遠しい2月の頃になると店頭に並び始めます。そんな愛らしいいちご大福について、あんこライターのかがたにさんならではの視点で魅力を教えてもらいました。

和菓子にいちご!実はまだニューフェイス

いちごの画像

いちご大福がおいしい季節になりました。私にとって大福はいつでもおいしいので、厳密にはいちごがおいしい季節になっただけなのかもしれません。

世の中に登場した駆け出し時代には、否定的な意見が少なからずあったように記憶していますが、今では「好きな和菓子ランキング」などで幅広い年代から支持されるトップアイドルです。いちごを丸ごと包んだものが基本的なスタイルながら、あんこの種類やもち生地の質感もさまざま。最近は大福に切り込みを入れ、そこにいちごを差し込むタイプのものもよく見かけるようになりました。

不思議なシュワシュワには和紅茶を

和紅茶を淹れる画像

個人的にはすべてがもち生地に包まれている方が好き。というのも、ときおり“ちょっぴりシュワシュワするいちご大福”に出合うことができるから。食べたことがある人にはすぐにわかっていただけるのではないでしょうか。まるで乙女の吐息のような、あの微かなシュワシュワ感。どうやら、密閉空間であんこの糖と新鮮ないちごの酵母が反応して、炭酸ガスが出ている状態なのだそう。もち生地の密室で交わされる、いちごとあんこの内緒話から生まれたささやかな奇跡です。

食べるまでわからないシュワシュワいちご大福には、近年注目度が高まっている、日本産の茶葉を使ってつくられる和紅茶を合せたい気分。渋みが少なく甘みがある「和紅茶」の繊細な味わいは、乙女の秘密をふわりと包んだいちご大福にぴったりだと思うのです。

4.まとめ

茶の湯とともに花開き、京都の文化として欠かせない和菓子。暦や季節の行事を大切にした京都の和菓子屋さんで、年末、お正月、早春に見つけたらぜひ食べてほしい和菓子をご紹介しましたが、いかがでしたか?季節を感じながら、温かいお茶やお抹茶とともにいただいて、日々のくらしにうるおいを与えてください。


  

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