新茶はいつまで?新茶でも時期や部位で味わいが違うんです!
2023.04.01
その年、最初の新芽からつくられる新茶は「一番茶」とも呼ばれ、4月下旬〜6月初旬の時期に収穫されます。
でも、6月になってからもさまざまな種類のお茶が「新茶」として販売されています。どうしてすべてのお茶が同じ時期に新茶へ切り替わらないのでしょうか? そこには2つの理由がありました。
目次
1.新茶の時期はいつからいつまで?
毎年4月下旬〜6月初旬に一番最初の茶摘みが行なわれ、その茶葉が「一番茶」と呼ばれます。
一番茶の茶摘みの後も、次々と芽吹く茶を収穫し、6月中旬頃までに摘まれたお茶を「新茶」と呼んでいます。
その後に摘まれる茶葉は、二番茶(6月〜7月上旬)、三番茶(7月中旬〜8月)と呼ばれ、最後に9月〜10月頃に四番茶(秋冬番茶)が収穫されます。
一番茶は厳しい冬の寒さを越え、初夏の陽射しの中、いっせいに芽吹く新芽は、瑞々しい生命力にあふれ、栄養価が高く、深い旨みがあります。
2.なぜ新茶の登場時期はバラバラなの?
5月初旬から6月にかけて、日を追うごとに新たな新茶の商品が続々と登場します。 「でも、どうしていっぺんに全部のお茶が新茶にならないで、だんだんと変わっていくの?」と不思議に思った方もいるのではないでしょうか。
それは、茶農家さんが新芽の生育具合を見極め、ベストなタイミングで摘み取りを行なっているからです。 お茶の木は、過酷な環境で冬を乗り越え、暖かい春を迎えて芽吹きます。これを摘み取ったものが新茶です。
お茶は農産物ですので、一律に成長するわけではありません。新芽の成長具合は、年ごとに異なる気温や天候などに左右されます。
また、摘み取るタイミングによって収量や品質が変わるため、さまざまな状況を見極めながら、その茶畑にベストなタイミングで新芽の摘み取り作業を行ないます。
3.新茶の味は茶摘みのタイミングで変わる!時期と味の関係を知ろう
4月下旬から5月初旬に摘み取られる新茶は、まだ太陽の光をあまり浴びていないやわらかな新芽です。お茶の枝は、先端に芽があり、そこから下へと互い違いに葉がついています。
芽と、その下の3枚の葉の部分を「一芯三葉(いっしんさんよう)」といいます。まだ若く、紫外線をあまり浴びていないので、旨みと甘みの主成分であるテアニンが豊富で渋みが少ないという特長があります。
5月中旬以降になると、日照が強まり、芽はさらに成長します。その新芽を摘み取り、どんどん製茶していきます。一芯四葉・五葉となった新茶は、日光をしっかり浴び、健康成分カテキンをたっぷりと蓄えています。
早いうちに摘んだほうがいい新芽なのか、しっかり成長させたほうがいいものなのかを畑ごとに見極め、 ベストな状態の新茶を茶農家さんたちは届けてくれます。
4.新茶の希少な部位「出物」はシーズン後半に登場
新茶シーズンの中盤~後半にかけて登場するのが、「出物(でもの)」と呼ばれるお茶です。茎や芽、粉になったものを、お茶を加工する過程で選り分けたものです。
茶畑から摘み取ってきた新芽は、「蒸す」「揉む」「乾燥する」という工程で製茶されます。そうしてできるのが、「荒茶(あらちゃ)」と呼ばれる緑茶の原型。ここから仕上げ加工をし、お茶の味や香り、大きさなどを整えて、商品としてみなさまの元へ届けられます。
その仕上げ加工のときに、茶葉の大きさを揃えるために篩(ふるい)にかけられ、選別されるのが芽・茎・粉の茶葉。これらをコツコツと集めたものが出物と呼ばれるお茶になります。
出物はとれる量が少なく、荒茶全体の数パーセントほどしかとれません。新茶の製茶・仕上げ作業がピークを過ぎる頃、ようやくみなさまにお届けできるだけの量が確保できるのです。
芽茶 やわらかな芽先だけを選別したお茶。お茶の旨みが凝縮された味わい。
茎茶 茎の部分だけを選別。爽快な香りとほのかな甘味が人気のお茶。
粉茶 細かく粉になった茶葉を選り分けたもの。抽出性がよくお茶の旨みがよく溶け出る。
5.新茶の出物の特長
貴重な出物ならではの、個性豊かな味わいを心待ちにしているお茶ツウの方も多くいらっしゃいます。
これから成長しようという栄養がぎっしりと詰まった芽を使用した「芽茶」は生命力あふれる力強い味わいです。
比較的価格が手頃で、濃厚な新茶と同じ香りや味わいが楽しめる「粉茶」は、短時間で淹れられる手軽さも魅力。
出物の中でも比較的多くとれる「茎茶」は、清々しいすっきりとした味わいが人気。茎茶の新茶はさらに渋みが少なく、あと味のよさが際立っています。
❶芽茶
[味] 養分が集まっている部分なので、旨みが凝縮している。
[香り] やや強い香気で、爽やかな気分をもたらしてくれる。
[特長] 小さくてくるっと丸まった形が特長のお茶。お茶の旨味を多く含んでいる。水分を多く含んだやわらかい芽や葉の先端は、自然に丸まりやすく、粒のように丸みをおびている。
❷粉茶
[味] 濃厚な味わい。お茶の奥深い風味を余さず楽しめる。
[香り] フレッシュな香りと焙煎香が調和した、豊かな香りがある。
[特長] 茶葉が細かいので、お湯を注いだときの抽出がよく、味わいや色、カテキンなどの成分も濃厚に出る。80℃ほどのお湯を注げば、10〜20秒ほどの短時間で淹れられる。
❸茎茶
[味] 渋みがなく、すっきりとしたあと味のよさが際立つ味わい。
[香り] 清々しい香りは、まるで新茶の茶畑で深呼吸したかのよう。
[特長] 高級な煎茶や玉露からとれる茎茶は「雁ヶ音(かりがね)」と呼ばれ、お茶ツウに人気。お茶の色は淡くて透明感のある黄緑色。すっきりと若々しい味と香りが楽しめる。
6.まとめ
新茶の時期はまさに、一年に一度だけの特別なとき。走りの瑞々しい味わいも、後から出てくる奥深い味わいも、それぞれの違いを感じながら、ぜひ楽しんでください。