新茶の製造工程。生葉から茶葉へ、おいしいお茶ができるまで
2023.04.01
夏も近づく八十八夜〜♪ 1年間丁寧に育てた新芽が摘み取られ、新茶が楽しめる季節がいよいよやってきます。茶の木から生まれた茶の葉は、いったいどのようにして新茶になるのでしょう? 新茶ができるまでの製造工程をご紹介します。製造工程を知れば、もっと新茶がおいしくなるはず!
1.茶摘み
毎年4月下旬から5月になると、「茶摘み」が行なわれます。
1年間、真心込めて育てられた新芽を、人の手や摘採機といった機械を使って収穫するのです。
摘み取られた新芽は、すぐに製茶工場へ運ばれ、おいしい新茶になるための加工が施されていきます。
2.蒸し
最初の工程は「蒸し」。
新芽は、摘み取られた瞬間から酸化が始まるので、いち早く蒸して酸化を止めます。
生葉特有の青臭みを取り、葉を柔らかくする効果もあります。
3.揉み
蒸された新芽は、次に「揉み」の工程へ。
粗揉みの「粗揉(そじゅう)」、加熱せずに揉む「揉捻(じゅうねん)」、乾燥させながら揉む「中揉(ちゅうじゅう)」、形を整えながら揉む「精揉(せいじゅう)」と、4段階に分けて、丁寧に揉まれていきます。
異なる機械を使いながら、蒸し具合や水分の状態、揉み加減など、お茶に精通した職人が、おいしさを引き出す最高のタイミングを見極めます。
4.乾燥
揉みが終わると、茶葉を「乾燥」させます。
十分に乾燥させないと、保存状態が悪くなり、変色など品質劣化の原因になるので、ここでしっかりと水分を取り除きます。
乾燥が終わると、お茶の原形となる「荒茶」のできあがり。
5.選別
荒茶が完成すると「選別」が行なわれます。
荒茶には茎や粉などが混ざり、葉の長さも不揃いなので、茎や粉などを取り除き、形を整える必要があります。
入札によって荒茶を仕入れた各茶問屋が茎、粉、葉に「選別」します。
6.火入れ
荒茶を仕上げ茶にする最終工程である「火入れ」。
火入れは、茶葉を加熱することで貯蔵に耐えるようにするとともに、「火香(ひか)」と呼ばれるお茶の芳香を向上させます。
火入れは、製造工程の中でもお茶の個性を引き出す大切な工程で、加熱温度がわずか一度の違いで同じ茶葉でも風味が変わってしまうため、火入れの最中は一時も気が抜けません。
その火入れの方法はさまざまにあります。いくつもある引き出しの中に少量ずつ薄く茶葉を入れ、下から熱風でじっくりと火入れする古式伝統の「棚式乾燥機」、大量の茶葉を火入れできる「透気式火入れ機」、炭火のような火入れができる「遠赤外線火入れ機」、フライパンで熱するように火入れする「ドラム式」など火入れの機械はさまざま。職人は長年の経験に基づいて茶葉に合う火入れ機を選び、温度や時間を設定します。同じ茶葉でも加熱の温度や長さによって、さまざまな特長のお茶に変わるのです。
❶古式伝統の棚式
棚のような乾燥機の引き出しに茶葉を入れ、下から熱風を送ります。ゆるやかに火が入るので、玉露など高級茶に向いています。
❷ドラム式
ドラムで茶葉を回しながら、ガス火で火入れをします。フライパンで熱するようなイメージ。しっかり火入れしたいときはドラム式を使います。
❸遠赤外線
溝のようなレールの中を茶葉が通り、炭火のようにじっくり火入れします。無酸素状態で、火の強さを細やかに調整できます。
❹透気式
80〜120℃の熱風で火入れができる透気式乾燥機。一度に大量の茶葉に火入れができるので、大量生産に向いています。
7.合組
火入れが終わると「合組(ごうぐみ)」が行なわれます。
合組とは、葉を十分に乾燥させて、特有の風味を引き出したあと、銘柄ごとの味わいをつくるためお茶をブレンドすることです。
産地や品種、蒸し具合が異なるお茶を合組して、おいしい緑茶ができあがります。
8.まとめ
普段飲んでいる一杯のお茶。茶の木から生まれたお茶の葉は、さまざまな製造工程を経て、人の手間暇をかけて、おいしいお茶になります。
新茶は不老長寿の縁起物ともいわれています。
できたばかりの旬の新茶を、ぜひ味わってみてください!