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【茶器のプロが伝授】湯呑の選び方と用途別のおすすめ

2022.10.01

お茶を飲むのに欠かせない湯呑。自分用にはもちろん、おもてなし用やギフト用に求める方も増えています。でも、いざ買おうと思ってもどれも同じに見えて、どう選べばいいかわからないという悩みもあるのではないでしょうか?

デザインだけじゃない、機能や種類、用途に合わせた湯呑の選び方をプロに教えていただきました。

湯呑みたち

 

教えてくれたのは 

 
 

東哉 京都清水焼 山田やまだ東哉とうさいさん

 

  山田 東哉さん

大正8年に創窯、昭和11年に銀座へ売舗を開設し、伝統的な京焼を元にしつつも、東京の粋を取り入れた創作を続ける「東哉※(とうさい)」の現店主。
※東哉の「哉」は、最後のはらいがないものが正しい表記

  東哉 京都清水焼

東哉 京都清水焼

【住所】京都市東山区五条橋東6丁目539-26
【電話】075-561-4120
【営業時間】10:00〜17:00
【定休日】水曜・第2、4火曜
【HP】https://www.to-sai.net/

 
   

お茶を入れる器は、「湯呑」と「汲出」に分けられる

お茶を入れる器としては、大きく2つに分けられ、お茶碗のような形をしている「汲出(くみだし)」と、筒型の「湯呑」があります。

汲出:組合せで粋にはからうおもてなし茶器

「お客様をもてなすときは、湯呑ではなく、汲出でお茶をお出しするのが基本です。よりフォーマルなものになると蓋付のものもあります」と教えてくれたのは、店主の山田東哉さんです。汲出は口の部分が広く、お茶の色をより楽しむことができ、玉露や上級煎茶に向いています。

「西洋はティーセットでカップもうつわも一揃いのことが多いですが、日本には取り合せの妙があります。季節に合ったものを選んだり、お茶うけや茶托との組合せを考えたり……。選ぶ楽しみが広がります。粋なおもてなしの演出を取り合せで試してみてください」

湯呑:手にしっくりとなじむふだん使い茶器

一方で「湯呑」は、汲出に比べたっぷりのお茶を入れることができ、お茶が空気に触れる面積が小さく冷めにくい特長があります。

「おうちでご自分がお茶を飲むときに使うものですね。手に取ってみて、持ちやすく、しっくりくるものを選んでください。ご年配の方には軽いものが人気ですし、たくさん飲みたいという方は大振りのものを選ばれます。ぴったりの湯呑が見つかれば、お茶を飲むのが楽しくなりますよ」

自分に合った湯呑をみつけるために、山田さんにさらに詳しく湯呑の荒び方について教えていただきました。

  汲出

 

  湯呑

 

茶器のプロが教える湯呑の選び方

山田さんによると、湯呑を選ぶときに見るポイントは大きく5つあるようです。

❶ 厚み

厚みのある湯呑

選ぶときにまず注目して欲しいのは厚み。薄ければ軽くて持ちやすく、厚ければ冷めにくくなります。

「熱々のお茶を入れると熱くて持てないという方もいますが、湯呑の底の高台(こうだい)と口縁を挟むようにすれば、しっかり持てます。薄いものはお茶の温度を感じられますが、冷めやすくもあります。こまめにお茶を淹れる方は気にならないかもしれませんが、一度にたくさん淹れておくという方は、冷めにくい厚めの湯呑がよいでしょう」

❷ 素材

陶器製湯呑と磁気製湯呑

素材によっても特長があり、陶器製は長時間お茶を入れておくと茶渋などがつきやすい面もあり、手入れに少し手間がかかりますが、それが愛着となり、使うほどに味が出てきます。

磁器製は、におい移りや色移りがしにくいメリットがあり、薄手で使いやすいものも多いです。自分のスタイルに合ったものを探してみてください。

❸ 大きさ

湯呑の大きさ

目安は自分の手にしっくりと収まるサイズです。ほかにも、用途やライフスタイルに合わせて大きさを変えるのも楽しいです。今では、さまざまなサイズの湯呑がつくられています。

❹ 口縁のかたち

口当たりがやさしい湯呑

湯呑の口をつけるところを口縁(こうえん)と呼びますが、この口縁が反っているものは飲みやすく、口当たりがやさしい特長があります。

番茶やほうじ茶、紅茶など高温で入れるとお茶をよく飲む場合は、口縁が反り返っている湯呑がおすすめ。口縁が反り返っていると、熱くても湯呑の上部をつまんで運べるので、落とす心配もありません。

❺ 絵柄

絵柄がある湯呑

絵柄の好みは人それぞれ。気に入ったものを選んでください。なににでも合わせやすい無地のものをはじめ、写実的なものやポップなものなど、バラエティー豊かです。

用途別 おすすめの湯呑

自分で使うため、ギフト用…など、用途によって湯呑を選ぶ基準も変わってきます。どんな点に注目して選ぶといいのか、教えていただきました。ぜひ参考にして、ぴったりの湯呑を見つけてください。

1 自分用

手に持ちやすく、しっくりくるものを。ライフスタイルや好みに合わせて素材やサイズを選びましょう。

ごくごくお茶を飲みたいお茶好きの方は
容量が大きめで、お茶が空気に触れる面積が少ないので冷めにくい。番茶やほうじ茶などを、たっぷり飲みたい場合でもあたたかいまま楽しめます。

大湯呑

少しずつお茶を楽しみたいという方は
一般的な湯呑よりも一回り小さい小湯呑。少しずつ飲みたいという方にはもちろん、粋なおもてなしの道具としてもおすすめ。「来客時に一杯目は汲出で煎茶をお菓子とともに出し、二杯目はうつわも中身も変えて、小湯呑でほうじ茶などを出すのが京都人の上品です」と山田さん。

子湯呑

2 ギフト用

相手の好みやライフスタイルを知っていたら、それに合せて選びましょう。年配の方には、重さが軽いものが喜ばれたり、お祝いのシーンには、おめでたい柄をあしらったものもありますので、相手を思って探してみてください。

3 こども用

こどもの手に合せた小さいサイズもあります。「お子様に割れ物を渡すのは不安があるかもしれませんが、こどもの頃から割れ物を日常的に使って、ものを大切にする経験をしてほしい」と山田さん。

子供用湯呑

まとめ

湯呑の選び方について、焼物専門店「東哉」の現当主、山田さんにお伺いしました。湯呑選びのポイントは、主に5つ。

自分の飲み方に合せて素材や大きさを選ぶこと。おいしくお茶を飲むために、一度に淹れたい派なのか、こまめに淹れたい派なのかを考えて選んでみてください。