日本茶ができるまで!煎茶の製法

日本茶ができるまで!煎茶の製法

程よい渋みと爽やかな香りが特徴の煎茶。日本国内における流通量は、日本茶全体の約8割を占めることからも、私たちにとって最も馴染みの深いお茶と言えます。太陽の光を存分に浴びて育った茶葉を鮮度が落ちないうちに蒸し、揉みながら乾燥させるのが一般的な製造方法ですが、蒸す時間や乾燥の程度によって様々な味わいを楽しむことができます。

お茶は製法によって種類が違う

同じ茶樹から摘まれた茶葉でも、その製法によって味も見た目も異なるお茶が仕上がります。ここでは、日本国内で流通する日本茶の約8割を占めるとされる「煎茶」の製造過程を紹介します。

煎茶の製法①荒茶の製法  

茶樹から摘採されたお茶(生茶葉)を保存に適した状態まで加工したものを「荒茶」と呼びます。荒茶は、「蒸す→揉む→乾燥」の段階を経て製造されます。

茶葉を蒸す

摘採した茶葉が新鮮なうちに、蒸気によって加熱します。これにより茶葉に含まれる酸化酵素の働きが抑制され発酵を防ぐ他、茶葉の色を保ちながら草木の青臭さを取り除くことができます。

茶葉を揉む

蒸し終えた茶葉は十分に冷まし、さらに冷めすぎないように熱風を当てて打ちほぐします(葉振るい)。その後、茶葉に含まれる水分を均一にするため、茶葉を回転させながら圧を加えて揉みほぐしていきます(回転揉み)。その後、また葉に熱風をあて、揉みながら乾かしていきます。葉を握って離すと自然に固まりがほどける程度まで乾燥させたら取り出します(揉み切り)。最後に「こくり」と呼ばれる手法で凹凸のある板の上で茶葉を力強く揉みます。そうすることで茶葉が細長く撚れ、艶やかな茶葉に仕上がります。

茶葉を乾燥させる

形が整えられた茶葉は、再度十分に乾燥させます。乾燥を終えると、荒茶の重さは生茶葉の1/4~1/5にまで減少しています。

煎茶の製法②仕上げ  

各産地から仕入れた荒茶は、以下に紹介するような過程で加工されます。

選別・整形する

荒茶には、大きさ、太さ、形状の異なる茶葉が混在しています。これを分類し、用途に応じて茶葉の形を整えます。
 

火入れ

熱風や遠赤外線により茶葉に熱を加える過程を「火入れ」と呼びます。火入れにより、茶葉の品質が安定し、保存の効果を高めるとともに味や香りも凝縮され、味わいのアクセントとなります。加熱時間、温度によって味に変化をつけることも可能です。

合組

同じ煎茶でも、産地や製法によって特徴が異なります。合組では、それらを見極め異なる茶葉をバランスよくブレンドしていきます。1つのお茶に、10種類以上の茶葉がブレンドされる商品も珍しくありません。

 
私たちの生活に欠かせない存在として愛飲される日本茶。茶畑で栽培されたお茶の葉が、商品として各家庭に届くまでは、大変多くの時間と労力が費やされています。普段何気なく飲んでしまうお茶も、生産から製造までの過程を思い浮かべながら口にすれば、より一層味わいが増すかもしれません。お茶を購入する際は、ぜひ産地や製法に関する記載を見比べてみて、自分の好みのお茶を選んでくださいね。